「いい選手が揃っているのに」。中村憲剛、佐藤寿人が心配するチームは? (3ページ目)

  • 原山裕平●取材・文 text by Harayama Yuhei
  • 佐野美樹●撮影 photo by Sano Miki

 攻守でしっかりとしたプレーモデルがあるので、そのスタイルが福岡にもハマった感じがしますね。中断前に5連敗したけど、勝ち点29も取ったのは、昇格クラブとしては合格点かなと思います。

---- 佐藤さんは、サンフレッチェ広島のことも気になるのでは?

佐藤 広島は引き分けの数が9で、湘南(ベルマーレ)と並んでリーグ最多なんですよ。勝ち切れない試合が目立ちますし、勝った試合でも、すごくいい試合をしているわけでもない。

 とくに攻撃に関しては、うまく機能しているとは言えないですね。厳しい言い方をすれば、組織的にチャンスを生み出すことがほとんどできていないんですよ。

◆中村憲剛と佐藤寿人に聞いた「Jリーグでギラついている若手FWは誰?」>>

---- どのあたりに問題点があると感じますか?

佐藤 去年はレアンドロ・ペレイラがいて、彼が結果を出した。でも、組織ではなく個人の力で取っていたので、ぼやけてしまった部分があったと思います。

 それで彼がいなくなったあと、新しく入ったジュニオール・サントスが同じ役割をこなすだろうという目論見だったと思う。だけど、タイプがレアンドロ・ペレイラと全然違ったので、隠れた問題点が浮き彫りになってしまったんだと思います。

中村 確たるチームのスタイル、プレーモデルがあれば、人が入れ替わってもチームは機能する。でも、人ありきで作ってしまうと、人が代わり、個性が異なれば、やり方が変わるのは当然。そこを補えるアイデアがないと難しくなってしまう。

佐藤 ペレイラはボックス内でプレーする選手で、サントスはボックス外でもプレーに関わりたいタイプ。出し手と受け手で点を取ることを考えると、誰を攻撃の終着点にするか。そこを定めないと、なかなか形は作れないと思います。

(後編につづく)

【profile】
中村憲剛(なかむら・けんご)
1980年10月31日生まれ、東京都小平市出身。久留米高校から中央大学に進学し、2003年にテスト生として参加していた川崎フロンターレに入団。2020年に現役を引退するまで移籍することなく18年間チームひと筋でプレーし、川崎に3度のJ1優勝(2017年、2018年、2020年)をもたらすなど黄金時代を築く。2016年にはJリーグ最優秀選手賞を受賞。日本代表・通算68試合6得点。ポジション=MF。身長175cm、体重65kg。

佐藤寿人(さとう・ひさと)
1982年3月12日生まれ、埼玉県春日部市出身。兄・勇人とそろってジェフユナイテッド市原(現・千葉)ジュニアユースに入団し、ユースを経て2000年にトップ昇格。その後、セレッソ大阪→ベガルタ仙台でプレーし、2005年から12年間サンフレッチェ広島に在籍。2012年にはJリーグMVPに輝く。2017年に名古屋グランパス、2019年に古巣のジェフ千葉に移籍し、2020年に現役を引退。Jリーグ通算220得点は歴代1位。日本代表・通算31試合4得点。ポジション=FW。身長170cm、体重71kg。

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