これは「浦和レッズ」なのか? 名より実を取った新戦力が新たな風を吹かせる (2ページ目)

  • 原山裕平●取材・文 text by Harayama Yuhei
  • photo by AFLO

 右利きながら左足も同等に操る精度の高いキックはもちろん、狭い局面でも失わないボールコントロールの巧みさも際立つ。球際で戦える闘争心や走力も持ち合わせ、攻守に流動的なリカルド・ロドリゲス監督のサッカーの体現者となっている。

 福岡戦では左足で強烈な一撃を見舞い、待望の移籍後初ゴールもマークした。昨季は三笘薫(川崎)が強烈な輝きを放ったが、今季のJ1での最大の発見はこの小泉だと言っても、決して大げさではないだろう。

 その小泉は、チームの攻撃の手ごたえを次のように語っている。

「僕がコツを掴んだというより、チームとして安定してボールを動かせるので、その結果、自分がいるべき場所にいて、いい形でボールが入ってくることが増えた。全員が意思を共有してボールを動かせているので、それに合わせて動くときれいに受けられる」

 得点シーンも「練習でもやっているし、意図した形で取れた」と胸を張る。どのようにボールを回し、どこにポジションを取れば、チャンスを作ることができるのか。迷いなきイメージの共有は、リカルド・ロドリゲス監督が求めるスタイルが着実に浸透している証だろう。

 小泉だけでなく、福岡戦で2点目を奪った明本考浩も、J2からの個人昇格組。昨季は栃木SCでプレーしたアタッカーは、サイドバックにも対応する万能型だ。その汎用性の高さを売りに、ここまで岩波拓也、槙野のCBコンビに次ぐチーム3位の出場時間を記録している(小泉は4位)。

 J2からやってきた2人に象徴されるように、実より名を優先するような補強が目立ったかつての浦和のイメージは、すでにない。決して派手さはないものの、組織的で機能性に優れた、生まれ変わった浦和の姿がそこにはあった。

 一方で、かつての主力は危機感を募らせる。

「ここまで試合に絡めないのは初めてですし、週末に試合がない日々が続くと、サッカー選手として生きている実感が湧かない」と言うのはベテランの宇賀神だ。しかし、「トライ&エラーを繰り返しながら成長している実感がある」と語るように、チャンスを得た第19節の柏戦では先制ゴールを奪い、チームに勝利をもたらしている。

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