土居聖真が小笠原、内田、曽ヶ端から学んだ「鹿島イズム」の真髄

  • 原田大輔●取材・文 text by Harada Daisuke
  • 佐野美樹●撮影 photo by Sano Miki

「3人に言えるのが、『みんな一緒に仲よく手をつないで、がんばろうぜ』ということではなかったんですよね。どちらかというと、そのベクトルがいつも自分に向いていて、常に自分に対して『もっと奮い立てよ。もっとやれよ』という人たちだった。

 だから、僕が言いたいのは、そういう意味での根性なんです。だって、ソガさんは身体がボロボロでも練習を休まなかったし、それでもスーパーセーブを連発していた。満男さんもそうでしたけど、多少痛いところがあってもグラウンドに立つし、そこで結果を残す。それは篤人さんも一緒。僕が思う、僕が学んだ鹿島イズムというのは、そういうことだと思う」

 それこそが、土居が受け継いでいる姿勢にもつながっているのだろう。

「だから、内側から醸し出されるもの、溢れ出るものだと思います。自分にベクトルを向けていた3人に共通していたのは、決して人のせいにしないところだった。そうした姿勢も、見せようとして見せていたわけじゃない。僕はそれを勝手に見て感じていただけ。でも、その感じられるか、感じられないかも大切だと思います」

 たとえばだが、試合に出られない理由を外に向けてしまうのは簡単だ。プレーで結果を残せない原因を周りのせいにしてしまうのも簡単だろう。だが、それでは自分のためにも、チームのためにもならない。土居が3人のレジェンドから教わったというよりも、感じ取ったのは、いいときも悪いときも自分に矢印を向け続ける、まさしく"根性"(心根)だった。

「ただ単純に『負けず嫌い』なだけだとも思うんですけどね(笑)。でも、そういう意地や根性が3人にはありました。自分も3年前くらいから、『人に言う前に、まずは自分』と思うようになって、自分にベクトルを向けるようになったら、プレーにも好影響を及ぼす試合が多くなった。ちょうど、満男さんが引退するか、しないかという時期に、そう感じたんです。

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