土居聖真が小笠原、内田、曽ヶ端から学んだ「鹿島イズム」の真髄 (2ページ目)

  • 原田大輔●取材・文 text by Harada Daisuke
  • 佐野美樹●撮影 photo by Sano Miki

 姿勢というものは、ピッチでしか示すことはできないですけど、たとえば自分がカシマスタジアムでハットトリックした姿を見て、後輩やアカデミーの選手たちが『いつか自分も』と思ってくれたとすれば、鹿島の未来はきっと明るい。その連続だと思うんですよね。自分もそうでしたし、アントラーズの歴史はそうやって紡がれてきましたから」

 若い時から背中を追いかけ、追い越そうと見続けてきただけに、彼なりに感じていることもある。

「満男さんは、自分が汚れ役を買ってでもチームの輪を作るのが本当に上手でした。篤人さんもそうでしたけど、ピッチの外に出れば、自分がふざけてでもチームの雰囲気を作ろうとする。ピッチに入れば、試合も紅白戦も真剣にやる。その姿は、本当に勝つためにすべてを注いでいるように見えた。

 オンとオフの切り替えがはっきりしていて、ピッチ外でも、いつもみんなのことを気遣っていた。それも決して上から目線ではなく、同じ目線に立ち、チームを和ませようとしていた。ほかにもそういう先輩たちはたくさんいましたけど、決して簡単なことじゃない。

 そのなかでも、篤人さんは見てきたこと、経験してきたことが世界基準だったので、ひとつひとつの言葉に説得力もあった。でも、僕のなかでは、満男さんも、ソガさんも、篤人さんも、3人とも似ているんですよね」

 それぞれから何を学んだかを聞こうと考えていたが、土居の言葉を聞いて、無粋だと思ってやめた。その共通点こそが、きっと"鹿島"だと感じたからだ。

「最終的に3人のことを考えていくと、"根性"という言葉に行き着くんです。言葉にすると安っぽく聞こえるかもしれませんが、満男さん、ソガさん、篤人さんのことを整理した時に思ったのは、結局のところ、そこだった。3人ともベクトルが常に自分に向いていた」

 土居は、根性論を持ち出したいわけではない。根性という言葉が持つ本来の意味----語ってくれたのは、挫けない心根についてだった。

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