U-24代表でも注目のフロンターレ旗手怜央。「頭の中がぐちゃぐちゃ」からSB挑戦で新境地 (3ページ目)

  • 原田大輔●取材・文 text by Harada Daisuke
  • 佐野美樹●撮影 photo by Sano Miki

 そして、出場時間以上に旗手が強く意識しているのが、平常心とでも言い表すことのできるメンタル面だった。

「昨季は、どうしても試合によっては気持ちが昂ぶってしまったり、気持ちの浮き沈みみたいなものがあったんです。ただ今季は、試合に勝ちたいという気持ちは大前提としてあるものの、変に昂ぶることもなく、常に一定した状態で試合に臨めるようになりました。それも含めてSBでプレーした経験が大きいんだと思います。周りが見えるようになったことで、平常心で試合に臨めているのかもしれません」

 ただし、昨シーズンから変わらないものもある。それはプレーするうえでの姿勢だ。

「僕はどのポジションでプレーしていても、それほど変わったプレーというのはしていないつもりです。SBでも、インサイドハーフでも、ウイングだったとしても、まずはゴールに向かうプレーを意識しています。目標としているのはゴールなので、もしかしたらそれがどのポジションにおいても、自分のよさを出せている要因になっているのかなと。

 いわゆるSBの選手であれば、サイドをオーバーラップするところを、自分はドリブルして中に入っていくこともあれば、逆サイドまでボールを運ぶこともある。もともとはFWなので、ゴールに向かっていくプレーとシュートは常に考えている。加えて、フリーランでも、ボールを持っている状態でも、ペナルティーエリアにどれだけ侵入できるかも意識しています」

 J1第2節のベガルタ仙台戦では、83分に中央からドリブルでペナルティーエリア右に侵入すると、右足を振り抜いた。J1第6節の浦和レッズ戦でも51分にシミッチのスルーパスに反応してゴール前へと駆け上ると、右足で決めた。いずれも、左SBで出場しながらの得点だった。

「本来はインサイドハーフやウイングの選手がするような動きを、SBである自分がする。相手からしてみれば、誰がマークにつくのか判断に困るはず。掴まえにくい動きができているからだと思います」

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