鈴木彩艶は飛び級でU−24代表。槙野が挙げた18歳GKの3つの魅力 (3ページ目)

  • 原山裕平●取材・文 text by Harayama Yuhei
  • 山添敏央●撮影 photo by Yamazoe Toshio

「自分としては前節ミスをして引き分けにしてしまったので、今日は無失点というところを意識して入りました。攻撃の部分ではまだまだ課題はありますけど、GKの第一の仕事ができたことはよかったです」

 安どの表情を浮かべた鈴木には、試合を重ねるなかで着実に自信が育まれているようだった。

 鈴木の前でプレーするCBの槙野智章は、3つのポイントを挙げて若きGKを評価する。

「ひとつはGKに最も必要なシュートストップ。ポジショニングがいいこともありますし、体格もある。シュートモーションに入った相手の攻撃陣がなかなかいいコースに飛ばせないところが、彼の強みだと思っています。彼が構えた時にボールが正面に飛んでくるケースが多いのですが、それは相手に対するプレッシャーのかけ方がうまいからだと思います」

 たしかにデビュー戦となった仙台戦でも、相手のシュートは正面に飛び、鈴木が難なくキャッチするシーンが多かった。名古屋の山崎も1対1の状況になりながら、力のないシュートを鈴木の正面に打つだけだった。その状況を生み出せることが、鈴木のすごさなのだろう。

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 ほかにも槙野は、しっかりとキャッチできるクロス対応と、確実に味方にボールをつなげられる視野の広さを高く評価。そして最後に「まだ18歳で、あの体格と落ち着きがある。今後の日本サッカーを面白くする存在だと思います」と最大級の賛辞を送っている。

 浦和で出場機会を増やす鈴木は、ひとつ上の世代にあたるU−24日本代表にも初招集された。

「自分は初招集なので一番下から始まりますが、試合に出るなかで得た自信を発揮して、ここから追い上げて五輪代表に入れるようにがんばりたい」

 中学生の時にU−17日本代表に選出され、16歳にしてU−20ワールドカップのメンバー入りと、鈴木は常に上の世代と渡り合ってきた。

 プロの舞台で実戦経験を積み始めた規格外のGKは、果たして東京五輪のメンバーに滑り込むことができるか。最終選考の場となる6月の2連戦(vsU−24ガーナ代表、vsジャマイカ代表)は、この驚異の18歳のパフォーマンスが焦点となる。

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