J2ウォッチャー平畠啓史が序盤戦を詳しく分析。上位3チームが好調な理由は? (4ページ目)

  • 池田タツ●取材・文 text by Ikeda Tatsu
  • photo by Getty Images

◆J2のブレイク候補5人。引き抜かれないかサポーターは常にヒヤヒヤ>>

――今後この3チームに迫っていくようなチームはありますか。

平畠 やはり磐田ですよね。選手層の厚さがありますから。遠藤保仁選手が(ケガで)いない間にチームが連勝したんですが、やっぱり遠藤選手がいる時といない時でサッカーの内容が変わります。そうしたなかでも、いい頃合いが見つかっていきそうな雰囲気があります。FWファビアン・ゴンザレスも入ってきて、選手層が厚くなりました。間違いなく上の3チームに迫ってくるでしょう。

 あとはヴァンフォーレ甲府ですね。がっちり守って少ないチャンスを生かしましょうというイメージを持っている方が多いかと思いますが、今年は本当に攻撃が面白いんです。とくに泉澤仁選手と荒木翔選手の左サイドの崩しがお見事。泉澤選手のドリブルはわかっていても止められません。

 ほかに大卒の関口正大選手や長谷川元希選手など、いい選手もどんどん出てきています。これまでの甲府のイメージとは違う一面が出ていて面白いです。スタジアムが沸くシーンが増えていますよね。

――平畠さんが個人的に注目しているチーム、もしくは後半巻き返しそうだと思うチームを教えてください。

平畠 水戸ホーリーホックが面白いですよね。基本はアグレッシブ。いい時はすごくいい試合をして、勝ちっぷりがいい。でもダメな時は全然ダメ。それがなんか人間っぽいんですよね(笑)。前の試合で「ちょっと良くないなぁ」と思っても、次の試合で急に強くなったり。それが魅力的なんですよね。安定感はないかもしれないけど、期待感は毎試合あるんですよ。だから上位陣をかき回してほしいです。

 あとはレノファ山口も面白いですよね。昨季は厳しいシーズンを過ごしましたが、今年はチームができあがっていく過程を見られる楽しみがありますね。レノファはやっぱり池上丈二選手がカギを握っているなと。ポジションはトップ下だと思うんですけど、ダブルボランチの位置を見て絶妙なポジション取りをするのが本当にうまいんです。もちろん足元の技術も高いんですが、ポジショニングの妙はすごいものがあると思います。

 あとは前線の高井和馬選手が好きですね。FW的な振る舞いがいい。大卒の神垣陸選手と、梅木翼選手もいいですね。石川啓人選手もポジション取りとキックの正確さがすばらしい。レノファも理詰めのチームです。「ここにポジション取ったら、ここが空きますよね、だからここにポジションを取りましょう」みたいなのが、はっきり見て取れる。それも見どころです。

平畠啓史
ひらはた・けいじ/1968年8月14日生まれ。大阪府出身。お笑いコンビ「DonDokoDon」のツッコミ担当。芸能界随一のサッカー通として知られ、サッカー愛溢れる語り口が人気。サッカー関連番組の出演や著書も多く、昨年は『平畠啓史Jリーグ56クラブ巡礼2020 日本全国56人に会ってきた』(ヨシモトブックス)を出版した。

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