サポーターに深々と頭を下げたイニエスタ。日本、そして神戸との「絆」 (3ページ目)

  • 高村美砂●文 text by Takamura Misa
  • photo by ⓒVISSEL KOBE

 かねてから、僕はサッカーの引退を決めるのは、自分でありたい、ケガに引退させられるようなことはしたくないと思ってきました。であればこそ、大きなケガをした今回も、復帰まで多くの犠牲を払い、多くの努力を重ねてきました。

 もちろん、今後もまだまだ練習を重ねていかなければいけませんが、契約延長によって再び、ヴィッセル神戸に関われること、このクラブでアジアチャンピオンという目標に向かって偉大なプロジェクトを成し遂げていくんだというモチベーションが、今の自分を突き動かしています。

 それを今後も持ち続けながら、ヴィッセルのファンのみなさん、日本のサッカーファンのみなさんが示してくれる応援、気持ちに応えるために、努力を続けていきたいと思っています」

 その復帰戦を皮切りに、イニエスタは今、徐々に公式戦での出場時間を増やしながら、コンディションを高め、試合勘を磨く作業を続けている。その姿に、三浦淳寛監督も「(ピッチから)離れていた時間が長かった分、多少時間はかかると思っていましたが、想像していた以上にいい状態。コンディションも試合を重ねるごとに間違いなく上がっています」と太鼓判を押す。

 もちろんそれは、彼自身も実感しながら、完全復活に向けて歩みを進めている。

「練習や試合時間を重ねるごとに、コンディションは間違いなく上がっていますし、ここまでの経過についてもとても満足しています。ですが、ベストコンディションに持っていくための道のりはまだまだあるのかなと感じています。

 今回は長い怪我からの復帰で、痛めた箇所だけではなく、体全体が試合勘、トップレベルで戦えるコンディションを取り戻すには、練習、試合でプレーする時間を少しずつ増やしていく作業が必要になるからです。そういう意味では、この5月は『自分をベストの状態に持っていく』という目標を達成する月になると感じています」

 彼の戦列復帰、契約延長を語るうえでもうひとつ、忘れてはならないのが彼と"日本"との心の距離が年を追うごとに深まりを見せている事実だ。異国での仕事をする外国籍選手にとって、家族を含めた生活環境や食事面での充実は成功をおさめるうえで不可欠な要素になる。

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