鹿島復活のカギを握る20歳。「速くてうまい」ウイングがまた生まれた (3ページ目)

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki
  • photo by AFLO

 日本は中盤に優れた人材を輩出してきた。その一方で最近は、スピード系の選手も数を増やしている。スピード系の選手といえば、中盤系の選手に比べ、ボール操作がうまくないという印象がある。荒木と松村の関係にもそれは見て取れるが、その差は、かつてほどではなくなっている。

 32歳のベテラン永井謙佑(FC東京)は微妙だが、20代ともなると、スピード系の選手でも、見るからにうまくない選手は、もはや見当たらなくなっている。伊東純也(ゲンク)、浅野拓磨(現在所属なし)、古橋亨梧(ヴィッセル神戸)、前田大然、仲川輝人(横浜FM)、松尾佑介(横浜FC)ら、代表レベルに多くの選手が名を連ねる。

 3FWのスタイルが主流を占めるようになったことも輪を掛ける。特にドリブルが得意なウイングタイプの需要は、確実に増えている。

 松村はそうした意味では、今日的な選手になる。鹿島より、この日の対戦相手である横浜FM、さらには川崎フロンターレのようなサッカーをするチームのほうが、彼には適しているようにも見えるが、時代に後押しされている選手であることは確かだ。

 松村は日本を代表するスピード系の選手になれるか。小さくてうまい荒木もいいが、小さくて速い松村にも目を凝らしたい。

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