J1勢力図に大異変となるか。浦和、鹿島、柏...に早くも見え始めた「遅れて来た外国人」効果

  • 浅田真樹●文 text by Asada Masaki
  • 山添敏央●撮影 photo by Yamazoe Toshio

 ところが、チーム合流間もないとは思えないほどに、一度ボールを受けて攻撃の組み立てに加わり、パスをさばいてゴール前へ入っていく。そんな連係をかなりスムーズにこなしたうえ、58分には巧みな背後への抜け出しから先制ゴールまで決めている。

 リーグ戦初戦とあって64分に交代で退いたが、内容、結果ともに今後への期待が大きく膨らむJ1デビュー戦となった。現在10位(5月12日開催分終了時点。以下同じ)にいる浦和にとっては、上位進出に不可欠となる、貴重なフィニッシャーを手にしたと言えそうだ。

 同じく上位をうかがうチームにあって、頼もしい戦力となりそうなのが、鹿島アントラーズに新加入したMFディエゴ・ピトゥカである。

 ブラジルの名門サントスなどで活躍したディエゴ・ピトゥカは、左利きのボランチ。リーグ戦での途中出場やルヴァンカップでの先発出場で"試運転"を重ねたあと、5月12日に行なわれたJ1第21節の名古屋グランパス戦でリーグ戦初先発。効果的な縦パスを何本も打ち込み、2-0の勝利に貢献した。

 鹿島はこれで3連勝。一時はJ2降格もちらついていた順位も、7位まで上げてきた。相馬直樹監督就任後はルヴァンカップを含めて公式戦負けなしと、スタートダッシュの失敗を挽回するかのような猛烈な巻き返しを見せている。

 ブラジルからやってきた新ボランチがこの勢いを加速させられるようなら、いよいよ鹿島の上位追撃態勢は整うはずだ。

 また、新外国人選手合流とタイミングを一にして、チーム成績を上げてきているのが、6位のアビスパ福岡と12位の湘南ベルマーレだ。

 J1昇格1年目で苦戦が予想されながら6勝4敗4分けと白星先行の福岡は、現在リーグ戦で4連勝中。その間に加わった新戦力、MFジョルディ・クルークスとFWジョン・マリが起爆剤となった格好だ。

 マリは短い出場時間ながら、ルヴァンカップも含めて3試合連続ゴールと決定力の高さを示し、クルークスは4連勝したすべての試合に出場し、最近2試合は先発に定着。クルークスのケガ(J1第13節の柏レイソル戦で途中交代)は気になるところだが、ふたりがコンスタントに活躍できれば、チームのJ1残留も確かなものとなっていくはずだ。

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