偶然生まれた「チャンピオンシップ」が川崎と名古屋にもたらしたもの

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki
  • 佐野美樹●撮影 photo by Sano Miki

 過去のJ1を振り返ると、ACLを掛け持ちすることの負担が、J1の成績に悪影響を及ぼすケースが少なくない。今季の川崎にしても、その強さに疑いはないとはいえ、昨季ほどには悠々と独走できないのではないかとも思われた。

 ところが、同じ14試合消化時点での成績を比較しても、昨季の川崎は11勝2分け1敗。今季は成績を落とすどころか、さらに上げている。昨季の1敗が名古屋に喫したものだったことも、今季の川崎がさらに強くなったことをわかりやすく示している、とも言えるだろう。

 ACLの大会方式や日程が変更になったことで、その負担がかかる前にセーフティーリードを奪ってしまった格好だ。

 カレンダーはまだ5月上旬にして、早くもタイトルの行方は見えてしまった。そう言ってもいいのかもしれない。

 むしろ気になるのは、異例の試合日程で割りを食う結果になった名古屋のほうだ。

 直接対決2連戦を前に、名古屋は勝ち点3差で川崎に食らいついていた。それまでの12試合では9勝2分け1敗。うち10試合が(9試合連続を含む)無失点で、総失点はわずかに3だった。

 ところが、川崎との2試合では計7失点。1試合ごとに12試合分の失点をまとめて喫したことになる。そのショックたるや、決して小さくはないだろう。依然2位につけているとはいえ、このままズルズル後退してしまわないかと、心配になるほどだ。

 大一番を制し、早くも独走態勢に入り始めた川崎とは対照的に、あっという間に勝ち点差を広げられた名古屋。特別な舞台設定が整い、大きな注目を集めた"チャンピオンシップ"は、それゆえ、両者の明暗を色濃く分けた。

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