2021.04.30

独自のJ1月間ベストイレブン。無敗の首位・川崎Fからの選出は何人?

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki
  • 佐野美樹●撮影 photo by Sano Miki

◆Jリーグ序盤戦に見る、今季補強が成功しているチーム「ベスト3」>>

 家長昭博(川崎)の老練さは極まっている。動きがスローにさえ映るが、一瞬の技に力を入れることで、驚くべき精度を誇る。ボールキープ一つをとっても、相手がどれだけ強く当たっても体で跳ね返されてしまう。川崎が左で崩し、右で仕留めるような形が多くなっているのは、"家長という必然"だろう。今年6月で35歳になる家長の消耗を計算し、守備に力をすり減らすことなく(田中のカバーが特筆)前に残れるからだが、決定力は悪くない代償だ。

 攻撃的ポジションで、三笘薫(川崎)を選ばない選択肢はないだろう。高い位置でボールを受けた時、もしくはカウンターでスペースがあった時の彼は止められない。相手は彼に1対1で対応させるのは、見殺しと同義。それほど、ドリブルからのシュートの威力はすさまじい。集中力も高く、野心的。大分トリニータ戦はCKのこぼれをボレーで蹴り込んだあと、敵陣でボールを奪ってフィニッシュし、2得点を記録している。

 古橋亨梧(ヴィッセル神戸)は点取り屋として成熟をつづける。そのスピードは巨大な武器。ベガルタ仙台戦では、セルジ・サンペールからのロングパスを呼び込み、完璧なトラップからGKとの1対1を制した。ライン間を漂いながら、裏を取るのもうまい。ディフェンスは"消える"錯覚を覚えるだろう。大分戦でも、完璧にマークを外して最後は見事なバックヘッドで決勝点を決めた。エースの風格も出てきたか、鹿島アントラーズ戦はアユブ・マシカのスルーパスに対して裏をすり抜け、出てきたGKに対して冷静に流し込み、勝ち点1を拾う形になった。

 最後は4試合連続得点のアンデルソン・ロペス(コンサドーレ札幌)と迷ったが、鹿島アントラーズで強烈な存在感を放った上田綺世を選出した。出し手との呼吸を図った動き出しと、シュートの判断は白眉。柏レイソル戦では走りの質でディフェンスを置き去りにしてゴールし、札幌戦ではエリア内の混戦で落ち着いて沈めた。神戸戦でもパスを呼び込み、トラップから右足を躊躇なく振り、ネットを揺らしたが、この時、全治3週間のヒジのケガを負っていたという。

 5月も、川崎一色の世界がつづくのか――。

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