鹿島アントラーズの荒療治は吉か凶か。シーズン途中での監督交代の意外な歴史 (3ページ目)

  • 浅田真樹●文 text by Asada Masaki
  • photo by Getty Images

 昨季から鹿島のコーチを務めていた相馬監督は、過去に川崎と町田ゼルビアを率いた経験を持っている。

 特に町田時代には、コンパクトな布陣で攻守を繰り返すアグレッシブな戦いを展開。2016年、2018年と、J2の上位争いを繰り広げたことは記憶に新しい。

 結果的に2016年が7位、2018年が4位と、いずれも優勝には手が届かなかったが、当時はまだ町田がJ1昇格資格を持たず(スタジアムや練習場が基準を満たさなかった)、モチベーション的に難しいチーム状態だったことを考えれば、大健闘のシーズンを過ごしている。

 いわば、武者修行を経て、古巣に復帰したクラブのレジェンド。遅かれ早かれ、監督候補として名前が挙がることになっていたに違いない。今回は状況が状況だけに満を持しての監督就任とは言い難いが、コーチからの昇格はある程度のリスク管理がなされていたなかで、想定内の人事ではあるのだろう。

 今季開幕前は優勝候補だったはずの鹿島も、現在13位。首位の川崎とは勝ち点20もの差をつけられてしまっている(4月25日開催分の試合終了時点)。消化試合数が違うとはいえ、覇権奪回は絶望的な状況だ。

 しかしながら、新指揮官就任後はルヴァンカップを含めた公式戦3試合を戦い、2勝1分け。素早い手当てが功を奏し、状況が好転しつつある様子はうかがえる。加えて、3位以下は混戦状態にあり、幸いにして3位のサガン鳥栖とならば、勝ち点差は11にとどまる。巻き返しを狙う鹿島にとって、ACL出場は十分に現実的な目標となりうるはずだ。

 過去の実績を見る限り、シーズン途中での鹿島の監督交代はかなりの効果を上げている。今回もまた、常勝軍団の逆襲はあるのだろうか。

 相馬監督の手綱さばきに注目である。

3 / 3

関連記事

キーワード

このページのトップに戻る