J1天王山の川崎vs名古屋。首位攻防2連戦の注目ポイントは? (2ページ目)

  • 後藤健生●文 text by Goto Takeo
  • photo by Getty Images

 最大のプラス材料は田中碧の成長だ。中盤でのボール奪取能力もさらに上がったし、中盤から前線の選手の足元にズバッと付けるボールの正確さとパススピードには、目を見張るものがある。3月にはU-24日本代表のアルゼンチン戦(第2戦)でもボランチとしてプレーし、日本の攻撃のタクトを振るった。今や、Jリーグ屈指のMFと言って過言ではない。

 その代表戦以降の連戦にほぼフル出場した田中は、さすがにこのところ疲労をためていたが、名古屋戦ではすっかりフレッシュになった状態でその能力を発揮できるだろう。

 名古屋としては川崎の攻撃を抑えるために、なんとしても田中を止めなくてはならない。

 しかし、名古屋には3月に日本代表デビューも果たした稲垣祥や、米本拓司という守備力のあるMFがそろっている。この2人が田中、脇坂泰斗、ジョアン・シミッチといった川崎のMFとどのようなバトルを繰り広げるのか。この中盤での戦いこそが「直接対決」の勝敗を決することになるだろう。

 川崎は両サイドからの攻撃も強力だ。右サイドハーフのポジションでは家長昭博が起点となって、彼のビジョンがゲームをつくる。そこに田中や脇坂らのインサイドハーフが加わり、さらに右サイドバックの山根視来がタイミングを見て攻撃参加。ここで繰り広げる狭いスペースでのパスワークは、「わかっていても止められない」だけのクオリティがある。

 山根は3月に日本代表に初めて選出されて韓国戦で先制ゴールを決めたが、ボックス内に進入してフィニッシュに絡んだプレーは、まさに川崎でのプレーそのままだった。

 一方、川崎の左サイドは縦への速さと鋭さが武器だ。昨シーズン、ルーキーイヤーで13ゴールを決めた三笘薫は、そのドリブルによって1人で試合の流れを変えることができる。その三笘をサポートするのが、サイドバックの登里享平。昨シーズン終盤から長期離脱していたが、復帰すると縦への鋭い攻撃参加によって川崎の攻撃をさらに活性化させた。

 堅守を誇る名古屋としても、両サイドが守備に回ってしまうと川崎の攻撃を180分間(2試合)にわたって抑えつづけるのは至難の業だ。

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