三笘薫「オーラを出さないといけない」。フロンターレで自身の役割と考えていたこと

  • 佐藤 俊●取材・文 text by Sato Shun
  • 佐野美樹●撮影 photo by Sano Miki

 川崎のスタイルを理解しつつ、そこに合わせるようにプレーヤーとして技術やフィジカルを強化しつづけた。大学2年生の時、チームの強化指定選手になり、3年生の時にはトップチーム加入の内定が決まった。

「プロは、フロンターレ一択でした。スタッフの方にサポートしていただきましたし、試合も見て来てくれていました。ただ、加入が決まったとはいえ、アピールも含めて大学で成長した姿を見せないといけないと思っていたので、気がゆるむことはなかったです」

 三笘は、大学の4年間で武器を磨き、個の質を上げ、満を持してプロになったのである。

【昨年は満足できるシーズンではなかった】

 フロンターレに入団した直後から、その自信がプレーに満ち溢れていた。チームに加入した当初は、「リズムやプレースピードの違い、スペースがないなかでのプレーに苦労しました」と言うが、徐々に慣れていき、自分の強みを出せるようになった。途中出場するやいなや相手を混乱させ、結果を出し、サポーターを熱狂させた。

 いつしか、三笘がピッチに入ってくると、スタジアムの空気が変わるようになった。

「途中出場で、空気を変えるというか、そういう役割を担っていましたし、自分でもオーラを出さないといけないと思っていました。ファンやサポーターの声援が聞こえる時はうれしいです。期待もされているので、プレーで応えないといけないと思っていましたね」

 昨年は、リーグ戦30試合出場13ゴール、12アシスト。ベスト11にも輝き、川崎の優勝に大きく貢献した。結果といい、インパクトといい、ルーキーイヤーとは思えない活躍だったが、三笘にとっては、「満足できないシーズン」だったという。

「シーズン最初の頃から試合に絡めて、得点とアシストを積み重ねることができました。でも、そのほとんどが途中出場からの数字ですし、それだけ取れるようなプレーをしているとは思えませんでした。僕はスタメンで出場し、そこでどれだけ数字を増やしていけるかが選手としての価値があると思っています。そういう面で満足できるシーズンではなかったです」

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