J序盤戦、移籍が成功の選手「ベスト3」。新天地で輝いているのは誰か (3ページ目)

  • 木鋪虎雄●撮影 photo by Kishiku Torao

特殊性の高いスタイルに適応したエウベル
エリキの穴を埋める活躍が期待できる

小宮良之氏(スポーツライター)

1位=エウベル(横浜F・マリノス/FW)

 ブラジルのバイーアから新加入。初めての海外でのプレーながら、横浜F・マリノスのように特殊性の高いスタイルに早くも適応しつつある。

 ゴールを撃ち抜く強度を感じさせるアタッカー。ドリブルをしながらのシュートで、精度が落ちない。腰が強く、振りも鋭く、ゴール近くでの決定的な仕事が今後さらに増えてくるはずだ。

 左サイドからカットインしてのシュートは、ひとつの持ち味だろう。しかしそれだけではない。直近のコンサドーレ札幌戦では、一度は味方のハンドで取り消されたが、完璧なタイミングでヘディングのポジションを取り、ゴールに飛ばしていた。そして、終了直前にはドリブルでひとり交わし、左足でニアのゴール上を撃ち抜いている。

 昨季チーム最多得点(13点)のFWエリキ(→パルメイラス)の穴を埋める活躍が期待できるのではないか。


2位=宮代大聖(徳島ヴォルティス/FW)

 序盤戦、昇格組・徳島ヴォルティスの健闘の原動力になっている。

 一昨年はJ2のレノファ山口、昨年はJ1王者・川崎フロンターレでプレー。ゴールへのアプローチのうまさは見せていた。そのテクニックは非凡で大器の予感があった。ただ、2シーズンでカップ戦を含めて4得点と、10代特有の弱さ、脆さも感じさせていた。

 それが今シーズン、川崎からレンタル移籍した徳島で、うまさが強さに代わろうとしている。セレッソ大阪戦、ペナルティーエリア内でパスを足元に呼び込んだフィニッシュは美しさすら漂っていた。10試合で3得点だが、そもそもシュートまで持ち込める技術が魅力だろう。

 戦力的に恵まれていない徳島で、攻撃の存在感を見せられているのは特筆に値する。


3位=大久保嘉人(セレッソ大阪/FW)

 東京ヴェルディから移籍。序盤戦では今季Jリーグの顔になった。38歳にして、開幕5試合で5得点。J1リーグ3年連続得点王(2013年~2015年)、J1歴代得点王(190点※4月18日の開催試合終了時点)の面目躍如と言えるだろう。

 ただ、ここ最近は連戦で疲れも見える。レヴィー・クルピ監督は起用法を再考すべきだろう。大久保自身はピッチに立つ限り、すべてを出し尽くすが、消耗した状態ではせっかくのシュート精度が落ちる。マークが厳しくなった以外に、それが6点目の決まらない理由か。

 ミゲル・アンヘル・ロティーナ監督の戦術の名残はこれから薄れ、新しいセレッソ大阪の真価が問われるが、大久保嘉人の浮沈もそこで決まる。

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