前田大然が世界的ストライカーになるために。J最高記録でも物足りないこと (3ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki
  • 木鋪虎雄●写真 photo by Kishiku Trao

 世界標準を考えると、細かい技術をレベルアップさせる必要があるだろう。

「(得点が入るようになった理由は)自分でもよくわかっていませんが、去年はサイドに張ってプレーしていて。今年はとにかく中にどんどん入っていこうと。それがうまくはまっているのかなと思います」

 前田はそう言う。スプリント力を生かすために、サイドで起用する考えもあるかもしれないが、それでは特性が半減するのではないか。サイドを突っ切れても、器用さはなく、ビジョンも狭いため、そこから有効なプレーにつながる機会は多くない。瞬間的に、博打を打つようにゴールを狙う"生来的ストライカー"なのだ。

 セレッソ戦の終盤、相手GKが前に出て空になったゴールに、遠目から狙うシーンがあった。あれを決めたら、前田のこの日の仕事は100点だったが、ミスしている。62回のスプリント数で相手を疲弊させたが、世界的なストライカーになるには、その1点を奪うかどうかだろう。

 前田はゴールを重ねることで、ストライカーとして成熟するはずだ。

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