三笘薫の超絶ドリブルを細かく分析。水沼貴史が指摘する最大の強みとは?

  • 篠幸彦●取材・文 text by Shino Yukihiko
  • photo by Kishiku Torao

 先日のU-24日本代表の練習で、三笘と相馬勇紀(名古屋グランパス)が1対1をしている動画がtwitterで話題になっていました。その動画では、三笘のドリブルに相馬がクルクルと回されてしまっていた。それだけ彼のドリブルには揺さぶられる何かがある。

 川崎の試合解説の時に、私もつい言ってしまったんですが、三笘がどう考えて、どんなバランスで仕掛けてくるのか、ぜひ一度対峙してそれを体感してみたいと。それだけ彼のプレーに興味があります。

◆三笘薫の「止められなかった」少年時代。相手監督もその才能に脱帽だった>>

 さらにそうした得意の形を確実に持っていながら、アドリブも利くから手がつけられません。

 今季リーグ戦2試合目のセレッソ大阪戦で、三笘がエラシコ(アウトサイド→インサイドの連続タッチ)で相手を抜き、ゴールを決めるシーンがありました。こういう技をやる時は「さあ、これから抜いていきますよ」という雰囲気が出てしまいがちなんですが、この時の三笘は、相手の動きを見ながらものすごくナチュラルにアウトサイドでかわし、インサイドで相手の前に入った。しかもボールを動かす幅が広く、速かった。

 サッカーはやはり想定していないシチュエーションのほうが間違いなく多いですから、そのなかでどれだけ臨機応変にアイデアを出していけるかが優れたプレーヤーの条件ですし、サッカーの面白さだと思います。

 確かなロジックがありつつ、アドリブも自然と出せる。こうしたスタイルは、見た目の派手さはないけど、ネイマール(ブラジル/パリ・サンジェルマン)のようですね。

 今後、間違いなく海外でプレーする選手だと思いますが、最初は日本人DFとは違う体のサイズや足の出方の違いに苦労するでしょう。そこに対して三笘がどうアジャストしていくのか、その過程には興味があります。アフリカ系のサイドバックが多いフランスのリーグ・アンなどでプレーしたら、面白いだろうと個人的には思います。

 川崎はJリーグのなかでは群を抜いてうまいチームで、三笘にはいい形でボールが回ってくることが多いですよね。今後そうではないチームに行って周りの環境が変われば、チームのなかでの彼の立ち位置も間違いなく変わります。

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