計5人が選出。2つの代表マッチで「最強」フロンターレが証明される (3ページ目)

  • 浅田真樹●文 text by Asada Masaki
  • 佐野美樹●撮影 photo by Sano Miki

 あいにく昨季は1月のアジアU-23選手権以降、コロナの影響で五輪代表の活動が実質的になかった。そのため、彼らが川崎で蓄えた力を国際舞台で発揮することもかなわなかった。

 だが、およそ1年間のブランクは、間違いなくチーム内の序列を変えた。三笘にしろ、旗手にしろ、手の中にある自信の大きさは、1年前とは比較にならないものだろう。

 同じことは、日本代表の山根にも言える。

 昨季、湘南ベルマーレから川崎へと移籍してきた当時の山根は、日本代表候補としてメディアに名前が挙がるような存在ではなかった。湘南の主力としてすでに3シーズンを過ごしていたが、チーム自体がJ1とJ2を行ったり来たりしていたのだから、無理もない。

 ところが、川崎移籍をきっかけに、超攻撃的右サイドバックの才能が開花。昨季はベスト11にも選ばれ、誰もが納得の日本代表初選出となった。チーム内の序列という言い方をするなら、まだ名前すら載っていなかった選手が、一気に圏外から上位へとランクを上げてきた。

 特に今回の日本代表は、海外組の酒井宏樹(マルセイユ)と室屋成(ハノーファー)が招集されておらず、山根にとっては出場機会を得る絶好機。その出来次第では、代表定着にもつながる大きなチャンスを迎えていると言っていいだろう。

 代表合流前、最後の試合となったJ1第6節の浦和レッズ戦。

 敵地に乗り込んだ川崎は、前半こそ浦和の組織的な守備に苦しんだが、前半終了目前の42分に先制点を奪うと、後半はゴールラッシュ。大量4点を加え、5-0と圧勝した。

 左サイドバックの位置から巧みに抜け出し、ダメ押しの3点目を決めた旗手が語る。

「今までこのチームでやってきたことを表現するだけ。自分がやれるプレーを100%出したい」

 ふたつの代表チームが行なう4試合。それはJリーグ史上最強を支える新たな俊英が、自身の成長を証明する舞台である。

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