計5人が選出。2つの代表マッチで「最強」フロンターレが証明される (2ページ目)

  • 浅田真樹●文 text by Asada Masaki
  • 佐野美樹●撮影 photo by Sano Miki

 実際、当時の三笘のプレーを振り返っても、現在のようなドリブラーのイメージはほとんどなく、チームとしてのパスのつなぎにうまく加われず、苦労していた姿のほうが印象に残っている。旗手にしても、スピードこそあったが、プレーが単調でボールコントロールにはミスも目立っていた。

 まだ大学生だったから、と言ってしまえばそれまでだが、以降に行なわれた五輪代表の親善試合などでも、彼らが目立って評価を高めたことはなく、序列が変わることもなかった。

 当然、自身が置かれている立場を認識していただろう。2019年12月に行なわれたジャマイカとの親善試合(9-0で勝利)のあと、旗手は焦燥感を漂わせ、こんなことを話している。

「現状、オリンピックに出られる保証はない。来年(2020年)フロンターレで日々練習できるので、残り半年で試合に出て、結果を残せるようになれば。開幕から試合に出て、結果を残すことが必要になる」

 しかし、それからわずか2カ月足らずで、世の中の様子は一変した。

 図らずも、東京五輪は開催が1年延期に。Jリーグも新型コロナウイルスの感染対策により厳しく難しいシーズンを過ごすことにはなったが、その間、飛躍的な変貌を遂げたのが、三笘であり、旗手だった。

 スーパーなドリブル突破を武器に13ゴールを叩き出し、ベスト11にも選出された三笘は言うまでもないが、旗手の着実な成長も見逃せない。昨季開幕当初は短い時間の途中出場が多く、川崎のテンポに乗りきれない様子も見られたが、徐々にフィット。FW、MF、サイドバックとポジションを選ばない多様性も手伝って、チームに不可欠な存在となっていった。

 今季からは主に左サイドバックに入っているが、今や単調なプレーどころか、自在に立ち位置を変えて周囲と連係することで、攻撃のバリエーションが増加。昨季同ポジションのレギュラーを務め、ベスト11にも選ばれたDF登里享平がいまだケガで不在だが、その穴を埋めて余りある活躍を見せている。

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