浦和の左サイドが「狩場」に。スペイン人指揮官はどう立て直すのか (2ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki
  • 佐野美樹●写真 photo by Sano Miki

◆リカルド新監督「浦和は常に相手を上回って、勝たなければいけない」>>

 ボールをつなげるのは簡単ではない。ロドリゲス監督の戦術が浸透するのに、時間が必要なのだろう。今は道半ばというよりも、始まったばかりだ。

 前半、浦和はプレスをかいくぐってゴール前に迫り、プレッシングでパスミスを誘うシーンも作った。横浜FMが受け身になったこともあって、前半のラスト10分は優勢に試合を進めていた。伊藤敦樹が中盤のラインの裏でボールを受け、左サイドを走った汰木にスルーパスを入れ、折り返したボールを決定的なシュートまで持ち込んだ。

<Romper>

 まさにラインを破り、スペースを崩していた。ロドリゲス監督の狙いどおりだ。

「2点取られた後、自分たちもいくつかチャンスを作ることができました。でも、そこでの質が足りない。決定力不足とも言えますが、チャンスの数も90分間を通してもっと増やさないと」(浦和・小泉佳穂)

 浦和の攻撃は単発だった。後半はほとんどチャンスを作れていない。激しさを増した横浜FMの連動を前に、常に後手に回った。とりわけ浦和の左サイドは横浜FMの"狩場"になっていた。

 55分、浦和は敵陣まで攻め込んだものの、呆気なくカウンターを食らい、ラインが破られる。先制点と同じく、帰陣していない左サイドバックが空けたスペースにボールを流し込まれた。その折り返しを相手のサイドバックに決められたのだ。

 3-0とリードされた後も、狙いをつけられた左サイドは炎上同然だった。にもかかわらず、ロドリゲス監督は何の指示も出していない。開幕以来、左の攻撃力はチームの武器になりつつあったが、裏返しにされたら弱点になることはスカウティング段階でわかっていたはずだが......。

「(試合を通じて)マリノスの方が上回っていたのは事実だろう。しかし我々が敵陣でプレーし、ラインを破る場面もあった。改善が見られた部分もあり、その質を上げていきたい」(浦和・ロドリゲス監督)

 浦和が1、2点取っていてもおかしくはなかったが、横浜FMがもう4、5点取っていてもおかしくない試合だった。ロドリゲス浦和の完敗だ。

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