レイソル戦で見えたフロンターレのほころび。独走状態を止める手は? (3ページ目)

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki
  • 木鋪虎雄●撮影 photo by Kishiku Torao

 いかに自分たちでボールを保持する時間を作り出すか。そこに"打倒・川崎"のカギがあることは確かだろう。

 昨季川崎の総失点数は31と、名古屋グランパスの28に次ぐリーグ2位の少なさだったが、その堅守は高い攻撃力と表裏一体のものだった。つまり、ボールを保持して相手を押し込み、有利な状況を作り出すことによって、仮にボールを失っても、すぐさま高い位置で奪い返すことができる。それこそが堅守の源となっていた。それは今季も変わらない。

 だがその一方で、川崎は自陣ゴール前でひたすら相手の攻撃を跳ね返し続けるような(例えば、かつての鹿島アントラーズのような)、わかりやすい守備の強さには欠ける。一度相手にボールを保持され、自陣に押し込まれてしまうと、それをなかなか押し返すことができず、危ういパスやクロスをゴール前に通される。そんな傾向はすでに昨季から見られたものだ。

 昨季、わずか3敗しかしなかった川崎だが、そのうちふたつは、大分トリニータとコンサドーレ札幌に喫したもの。いずれも昨季ふた桁順位に終わったチームではあるが、それにもかかわらず、ボールポゼッション率を高めた攻撃志向が強いという点で一致するのは、決して偶然ではないだろう。

 低い位置からでもパスをつないで攻撃を組み立てる川崎に対しては、高い位置からのプレスがひとつの有効な対応策であるのは確かだ。高い位置でボールを奪ってショートカウンター。それでゴールまでたどり着けるなら理想的である。

 しかし、文字どおりのワンチャンスを、確実に仕留めて勝利に結びつけるのは簡単なことではない。

 だとすれば、川崎を倒すために必要な、より現実的な策は、ひとつのカウンターを単発で終わらせず、自分たちでボールを保持する時間を長く作り出すこと。柏戦がそうだったように、受け身に回ったときの川崎は意外なほどバランスを崩しやすい。

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