レイソル戦で見えたフロンターレのほころび。独走状態を止める手は?

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki
  • 木鋪虎雄●撮影 photo by Kishiku Torao

 柏の視点に立てば、最低でも引き分け、できればワンチャンスを生かして川崎にひと泡吹かせたかった試合内容である。にもかかわらず、取りこぼしなく勝ち点3を持っていかれてしまったのでは、連覇阻止はままならない。

 今季の川崎はFUJI XEROX SUPER CUPも含め、ここまで公式戦6試合を戦ってきたが、複数得点できなかった試合はこれが初めて。それだけ川崎が苦しんだということではあるのだが、裏を返せば、川崎の強さがより際立ったとも言える。このままではシーズン序盤にして、早くも川崎が昨季以上の強固な独走態勢を築きかねない。

 もはや川崎の勢いを止める手立てはないのだろうか。

 今の川崎に対して過度なリスペクト、すなわち、引いて守りを固めるという発想は、おそらく自分で自分の首を絞めることになる。

 ネルシーニョ監督が言うように、川崎はそもそも選手個々の質が高いうえ、サイド攻撃を中心に互いのコンビネーションが確立されており、崩しのアイデアも多彩だ。自陣ゴール前に押し込まれ、連続攻撃を受け続ける展開になれば、最後までは耐え切れない。実際、柏の失点もそうした時間帯で生まれている。

 柏が拮抗した試合展開に持ち込めたのは、自陣で守備を固めたからではなく、自分たちでボールを保持する時間をある程度作ることができたからだ。実際、ネルシーニョ監督が「いい形で守備から攻撃への流れを作れたが、相手陣地に押し込んでからのラストパスが決まらなかった。ラストパスの精度、シュートレンジでの積極性を欠いた」と悔しがったように、あわやの場面は少なくなかった。

 同じことは、FUJI XEROX SUPER CUPで1点差の勝負(2-3)を演じたガンバ大阪からも見て取れる。

 川崎にボールを支配され続けた前半こそ何もさせてもらえず、0-2とリードされたが、後半は自分たちでボールを保持して川崎を押し込み、一時は2-2に追いついている。

2 / 4

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る