サンフレッチェ、課題解決の糸口が見えず。だが浅野拓磨の弟・雄也は希望の光 (2ページ目)

  • 原山裕平●取材・文 text by Harayama Yuhei
  • photo by Getty Images

「鹿島の試合の入りは非常にいいので、そこに負けないように我々もいい入りができた。今季は入りは悪くない」と城福浩監督が振り返るように、いい形で試合に入り、先制点を奪えているのは好材料ではある。

 しかし、次第に消極的となってボールを前に運べなくなるのは、相手が退場者を出した仙台戦を除けば、何とか逃げ切った札幌戦も含めてすべてが同じ展開である。

「守備の時間が長いと危ないシーンも出てくる。もう少し相手陣内でボールが持てるような状況を作れるようにしないといけない」

 指揮官は課題を認識しているが、連戦が続くなか、うまく修正できていないのが現実だろう。

 看過できないのは、被シュートの多さだ。札幌戦、鹿島戦と2試合連続で21本のシュートを浴びている。

 逆の見方をすれば、「よくぞ耐えきれた」とも言える。GKの大迫敬介をはじめ、CBの佐々木翔、荒木隼人、あるいは新加入の今津佑太も含め、守備陣の実力はリーグ屈指だろう。だからこそ、求められるのは攻撃の時間を増やすことだが、現時点ではその課題に解決の糸口は見えていない。

 広島の狙いとしては、まずシンプルに前に蹴り込んで、相手のラインを下げる。その後の選択肢としては、以下の3つになるだろう。

(1)CFのドウグラス・ヴィエイラが収める。
(2)セカンドボールを回収する。
(3)高い位置からプレスをかけてショートカウンターに持ち込む。

 何とか敵陣で試合を運びたい意図は見えるが、セカンドボールが拾えない。あるいはプレスのハマりが悪ければ、相手にボールを持たれ、必然として押し込まれることとなる。押し込まれれば、後方で耐えるしかなくなり、両サイドハーフも最終ラインに組み込まれてしまう。

 鹿島戦では、6バックのように守る時間帯も見られた。そのポジションを担った森島も、エゼキエウも、目立ったのは攻撃ではなく、むしろ守備面。前の人数を増やすことを目的としたシステム変更は、現時点ではうまくいっていない。

2 / 3

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る