イニエスタ「自分はイチ選手ではない」。ケガの重症化を覚悟してPKに臨んだ (4ページ目)

  • 高村美砂●取材・文 text by Takamura Misa
  • photo by Getty Images

 と同時に、そうした手応えは日本でプレーすることへの欲を膨らませるものにもなったと言う。順調にリハビリが進み、復帰まで約1カ月を切った今、改めて4シーズン目のJリーグでのチャレンジに思いを馳せる。

「今シーズン、結果を求めるにはチームとして、まずは『自分たちはできる』『リーグ戦のタイトルを争える能力とチーム力が備わっている』と信じることが重要だと思っています。昨年のACLで我々は、その姿を示すことができましたが、難しいのはそれを1年間続けることです。

 実際、僕が在籍した過去3シーズンを振り返っても、1年を通した継続性はヴィッセルに欠けていたと感じています。もちろん、シーズン途中の監督交代やシステムの変更が多少なりとも影響したとは思います。ですが、たとえチームスタイルや戦い方の継続があっても、自分たちを信じて戦うことができなければ、1年を通しての結果を得ることはできません。

 また、チーム全体として失点を減らす努力をしなければいけないのも明らかだと思います。現代サッカーには攻撃と守備のバランスが不可欠で、特に守備の安定がなければリーグ戦を勝ち抜くのは難しいと感じています。だからこそ、自分たちのスタイルである攻撃に視点を置きながら、守備力を高めることで攻守のバランスを図ることを追求するシーズンにしたい。

 昨年の戦い、順位に目をやると、自分たちよりいいチームがたくさんあったように見えますが、僕はヴィッセルを、自分たちのサッカーを信じています。その"信じる力"は他者によって揺り動かされるものではなく、自分たち次第で備えられます。それをチームの中心に据えて、難しい目標ですが、リーグ優勝を目指したいと思います」

 2月末には、自身のインスタグラムで術後初めて、軽快に走る姿をアップしたイニエスタ。「最近は"復帰"をより近くに感じられるようになった」という言葉を聞く限り、再び彼の姿をピッチで楽しめる日はそう遠くはないだろう。

 その時のスタジアムはきっと、これまで以上に大きな驚きに包まれるに違いない。

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