震災から10年...苦境に立ち向かうベガルタ仙台。再び希望の光となるために

  • 戸塚 啓●取材・文 text by Totsuka Kei
  • 佐野美樹●撮影 photo by Sano Miki

 復興応援試合と銘打たれ、試合前に黙とうが捧げられた。スタンドに駆けつけた9005人の観衆も、テレビや動画配信で見つめる視聴者も、10年前の一戦を思い起こしたに違いない。1点を追いかける仙台が、73分と87分の得点で逆転勝利した一戦を。

王者・川崎フロンターレとの「特別な一戦」に挑んだベガルタ仙台だったが...王者・川崎フロンターレとの「特別な一戦」に挑んだベガルタ仙台だったが... しかし、ピッチ上の景色は厳しいものとなる。

 12分、昨シーズンのリーグ戦2試合で3得点を浴びていた小林悠に先制弾を浴びる。小林は今シーズン初先発だった。

 25分、関口の負傷で10人となっている間に、2点目を奪われてしまう。得点のきっかけとなるクロスを供給した長谷川竜也も、小林のヘディングシュートのこぼれ球に反応した遠野大弥も、今シーズン初先発である。

「川崎は久しぶりに先発起用された選手たちの勢いがあって、その勢いを眺めているうちにやられてしまった」という手倉森監督の言葉どおりに、仙台は失点を重ねてしまった。

 前半のうちにさらに2点を失った。0対4でハーフタイムを迎えた。客観的な力関係から考えれば、勝負の行方はこの時点で決したと言っていい。

 だからといって、諦めていいはずはない。指揮官は「前半は打ちのめされたけど、それでも打たれ強い姿を見せなければならない」と、選手たちを鼓舞した。

 戦術的な手当ても施す。ハーフタイムに3人の選手を交代し、4-2-3-1のシステムのまま選手の立ち位置も変えた。

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