勝負強さと力強さの兼備へ。アジアの頂点を目指す神戸・三浦監督の変革 (3ページ目)

  • 高村美砂●取材・文 text by Takamura Misa
  • 牛島寿人●撮影 photo by Ushijima Hisato

「疲れていたら間違いなく脳の回転は遅くなり、サッカーには不可欠な先を読む力や準備がおろそかになってしまう。そうならないためにも、ベースとなる体力を備え、常にボールの流れや人の動きを予測し、準備して、反応し、最後は、1対1のシーンで絶対に競り負けない強さが必要になる。

 うちのチームでいうと、蛍がその基準となります。彼はJリーグでも屈指の予測、準備、反応が早く、90分を通して脳を動かしながら戦い続けられる選手です。彼というお手本を基準に、他の選手の意識が変わってきたら、間違いなくチームとしての勝負強さが出てくるはずだし、戦えるチームにもなっていくと考えています」

 その先頭に立つキャプテンには、今シーズンも引き続きMFアンドレス・イニエスタを据えた。周知のとおり、イニエスタは昨年12月のACLで右大腿直筋近位部腱断裂という大ケガを負い、全治4カ月と診断されていたが、彼がピッチの内外で示してきた存在感を踏まえ「アンドレス以外のリーダーは考えられなかった」と三浦監督は言う。

「彼はプレーヤーとしてはもちろん、ピッチの内外での発言に大きな影響力を持っています。存在そのものが、他の選手が目指すべき指針になる、心強い存在です。

 これは、副キャプテンに据えた蛍も然りです。彼はどちらかというと行動で、背中で引っ張っていくタイプですが、明らかに彼のサッカーに向き合う姿勢、ピッチでの振る舞いは、チームをまとめる大きな要素になっています。

 そんな彼らに引っ張られ、新加入選手を含めた全員が目の色を変えて、意欲的にサッカーに向き合ってくれています。若い選手の意識も、どんどん変化しています。そうした選手全員のレベルアップを今後も求め続けながら、よりチームとしての連動性を高め、誰が出ても同じレベルのサッカーを実現できるチームにしていきたいと考えています」

 すべては、今シーズンの目標に掲げる「ACLへの出場権獲得」と、その先に描く"アジアナンバーワン"の座にたどりつくため、だ。

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