勝負強さと力強さの兼備へ。アジアの頂点を目指す神戸・三浦監督の変革 (2ページ目)

  • 高村美砂●取材・文 text by Takamura Misa
  • 牛島寿人●撮影 photo by Ushijima Hisato

「昨年の戦いを振り返ると、守備面において残り10〜15分の時間帯でしっかりと体が動けていた時は最後の一歩で体が張れていたり、危ないシーンでカバーリングができていたり、ファウルではなく正当なチャージでボールを奪えていました。

 ですが一方で、試合の後半に入って体力、走力の低下が顕著だった試合は、それに伴い集中力が欠如して失点してしまうシーンがいくつか見られました。その部分を改善しなければ、どんなに技術、戦術をブラッシュアップしても失点数の減少につながっていかないと感じています。

 また、攻撃においても近年、ボールを保持しながらアタッキングサードまで入っていく形は数多く作り出せるようになっていますが、昨シーズンも然り、相手にとって脅威となる攻撃を仕掛けられていたのかといえば、必ずしもそうとは言えません。それについては"ボールを持つ"ことに対する我々のマインドを変えていかなければいけないと思っています。

 サッカーでは、"ボールを持つ"ことが戦術として機能しなければ結果は得られません。だからこそ、ボールを持ちながらも、もっとゴールにチャレンジするプレーを増やさなければいけないし、パスでつなぐばかりではなく、シュートを打つ選択もできるようにならなければいけない。また、相手DFラインの前で横パスをつなぐのではなく、背後に抜けるとか、ボールを持った選手を追い越していく動きも必要になる。

 そして、それを90分間展開するためにも、走り切る、攻め切る体力と集中力は不可欠だし、ひいてはそれが得点数や、相手に脅威を与える攻撃につながっていくと思っています」

全員が目の色を変えて
意欲的にサッカーに向き合っている

 そうした意識づけを徹底するために、三浦監督は今シーズン、これまで3つだったチーム戦術に、先に記した攻撃の話にも通じる「より攻撃的なサッカーを実現するための効果的な動き」を加えた。また、個人戦術の部分でも、従来の「予測」「準備」「反応」に「デュエル(1対1の局面で負けない強さ)」を求めていると聞く。近年踏襲してきた、ポゼッションサッカーに"勝負強さ、力強さ"を備えるためだ。

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