「選手寿命がなくなっていく」昌子源が抱えていた苦悩と代表への思い (3ページ目)

  • 佐藤 俊●取材・文 text by Sato Shun
  • 牛島寿人●撮影 photo by Ushijima Hisato

――ライバルとなるのは、やはり昨年の覇者川崎フロンターレになりますか。

「昨季みたいに"川崎一強"にはしたくないですね。今季ももちろん強いと思うけど、昨季ほどうまくはいかないと思う。どこのチームも『打倒・川崎』でいくと思うんで。

 そういったことを考えると、川崎だけというよりは、目の前の試合に集中して、勝ち点を地道に積み重ねていくことが大事かなと思います。昨季、うちはリードした試合はほとんど勝っている。2、3年前のような"安い失点"はなくなってきているので、今季は昨季の引き分け分を勝ちに、負け分を引き分けにできればいけると思う」

 昌子には、ガンバでの活躍の先にもうひとつ大きな目標がある。それは、W杯でのリベンジだ。

 2018年ロシアW杯では、日本代表のセンターバックとしてグループリーグから決勝トーナメント1回戦まで3試合に出場。ベルギー戦では2―0とリードしながらも追いつかれ、最後は猛烈なカウンターを食らって逆転負けを喫した。あの敗戦の日、昌子は「また4年後、もっと成長してW杯に戻ってくる」と語っている。

―-来年はカタールW杯が開催されます。昌子選手にとって、日本代表は戻るべき場所になるかと思います。

「W杯の借りはW杯でしか返せないし、『4年間、さらに成長してカタールW杯で』と前回の大会が終わった時は思っていました。でも今は、ケガの影響で思うようにできていない部分があります。

 来年の本大会を考えると、守備の選手は予選から出ていないと、どんどん厳しくなってしまう。借りを返したいと思っているけど、今の自分がすべきことはまず、ガンバで試合に出ることが優先。そこで、森保(一)監督に認めてもらえるような活躍をしていくこと。そうすれば代表に呼んでもらって、借りを返すチャンスを得られるかなと思います」

 3月末に予定されているW杯アジア2次予選のモンゴル戦は、コロナ禍ということもあって、海外組不在での戦いになる可能性が高い。ガンバで試合に出て、結果を残していけば、そこで昌子も招集されるかもしれない。チャンスは意外と早くやってきそうな気配だ。

 もっとも秋からの最終予選は、レギュラー争いがより厳しくなる。センターバックは、若い選手の台頭が目立っている。能力が高く、国際経験が豊富な昌子といえども、伸び盛りで勢いのある若手に勝つのは容易なことではない。

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