「新しいレッズが垣間見えた」と森重。浦和の新スタイルに敵も唸った

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki
  • 木鋪虎雄●撮影 photo by Kishiku Torao

 スペイン人指揮官も「ボールを握って支配できた」と語り、最後の失点を悔やみつつも、こう続ける。

「FC東京は昨季ACL(AFCチャンピオンズリーグ)を戦ったチームであり、その後(ルヴァンカップで)優勝もしている。その相手にチャンスを与えなかった。(勝ち点1に終わったものの)勝ち点3にふさわしい内容を見せてくれた」

 いかに浦和がバランスよく戦えていたかは、FC東京の長谷川健太監督が口にした言葉も証明している。

 敵将は「前への推進力がまったくなく、東京らしいサッカーができなかった」と言い、その理由についてこう語った。

「浦和のプレスバックがすばらしかった。ボールの落ち着きどころを作れなかった」

 ロドリゲス監督の表現を借りれば、「適切な立ち位置を取ったいい攻撃」ができていた浦和は、ボールを失ったとしてもすぐに守備に切り替え、相手ボールを挟むことができていた。長谷川監督の言う「すばらしいプレスバック」は、浦和がコンパクトかつバランスのとれた選手の配置で試合を進めていたことを裏づけている。

 実際には、危ういボールロストがまったくなかったわけではない。FC東京の拙攻に助けられた面があったのも確かだ。しかし、試合全体を通して見れば、浦和の攻守攻がいいリズムで繰り返されていたことは間違いない。

 昨季までロドリゲス監督が率いた徳島ヴォルティスは、就任4年目でのJ2優勝。J1昇格の大願成就にはそれなりに時間がかかったが、指揮官の"色"は就任1年目からはっきりと表われていた。ピッチ上で魅力的なサッカーが展開されるまでに、あまり時間は要さなかった。

 それを考えれば、この開幕戦が就任初戦であろうとも、内容のよさには合点がいく。早くも期待に沿う内容を示した試合だった。

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