遠藤保仁が感じた磐田の変化。「出して、動いて、受けろ」の連続を要求 (3ページ目)

  • 佐藤俊●文 text by Sato Shun
  • photo by Getty Images

――アッという間にチームが変化した印象でした。

「もちろん、最初は手探りの状態だったけど、自分にとってもチームにとってもよかったのは、試合が続いていたこと。練習だけじゃなく、試合で確認できたことがたくさんあったし、次々と試合がきたので、あまり深く考えすぎることなく、修正もこの点に絞ってやろうみたいなことを繰り返していました。シンプルに物事をとらえられていたことが、いい方向に転がった要因かなと思います」

 遠藤は合流してから、最初の試合となる松本戦から攻守の軸になった。相手のチームからすると非常に脅威になる。どこのチームも遠藤の動きを警戒しており、かなり厳しいマークを置いていた。そういう中でも遠藤は、選手に指示を出し、積極的にコミュニケーションを取りながらプレーしていた。

――遠藤選手がチームメイトに要求したのは、どんなことだったのですか。

「自分の周囲に敵がいてもいいからパスをくれっていうこと。自分が入る前のチームは、フリーの選手にだけボールを出す感じだったんです。でも、それじゃ相手を崩せない。出して動く、出して動くという基本的な動作を繰り返していけば、相手の守備を崩せるので、自分に出して、動いて、受けろと言い続けていました。シーズンの終わりのほうはだいぶスムーズにやれていたかな。もともとそれをやれるメンバーがいたので、時間をかければ十分できるだろうと思っていました」

――最終的に6位という結果でした。

「シーズン当初は、J1復帰が目標だったので、みんな、不本意だったと思います。自分は15試合に出て、2回しか負けていないので、単純に数字だけ見れば悪くはない。個人的にも久しぶりに楽しく練習と試合ができてよかったですね」

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【Profile】
遠藤保仁 えんどう・やすひと
178cm、75kg。1980年1月28日生まれ、鹿児島県出身。地元の鹿児島実業高校を卒業後、横浜フリューゲルスに入団。その後、京都パープルサンガ、ガンバ大阪を経て、2020年10月にジュビロ磐田に期限付き移籍で加入。J1リーグ通算641試合103得点。J2リーグ通算48試合7得点。日本代表156試合出場。J1出場数、日本代表出場数とも歴代最多(※2月27日現在)。

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