リカルド新監督「浦和は常に相手を上回って、勝たなければいけない」 (3ページ目)

  • 佐藤 俊●取材・文 text by Sato Shun
  • photo by Masashi Hara/Getty Images

――その候補のひとりとなるのが、キャプテンとなった阿部選手でしょうか。

「そうですね。阿部は経験豊富で、周囲にもリスペクトされている選手。私が選手に与えようとしている情報を、彼がまず理解し処理して他の選手に伝えることで、周囲の戦術理解度も早まりますし、選手の成長にもつながっていく。戦術的にも、チーム作りにも、貢献してくれる選手です」

 リカルド監督が現在、主に力を入れているのは攻撃だ。昨季の浦和は43得点。リーグワースト6位という数字で、それが10位という成績にとどまった原因のひとつになったからだ。

 リカルド監督はその攻撃をどう立て直していくのか。それこそ、レッズ復活の重要なファクターとなる。

――守備の構築と攻撃の浸透、どちらが難しいと考えていますか。

「攻撃ですね。守備も教えることは楽ではないですけど、トレーニングの量を考えると、より浸透しやすいんです。でも、攻撃には終わりがないですし、最初に指導者がアイデアを提供し、浸透させていかなければいけないものもあります。指導者が与えたものはチームプレーになるので、そのためにはどうプレーするのか、選手に理解してもらい、(チームに)定着させていかなければいけません。また、それとは別に、選手と選手の組み合わせで作っていく攻撃もあります。

 とにかく、チームであれ、個であれ、打開するために大事なことは、選手個々が、どこにボールがあって、どのようなオプションがあるのかということを判断し、選手それぞれがポジションを入れ替わりながら連動して攻撃すること。ただ、これはそう簡単にできるものではありません。だから、攻撃は難しいんです」

――徳島では、監督が志向するスタイルが開花するのに2年かかりました。他のチーム、例えばJ1でポゼッションを重視している、横浜F・マリノスや川崎フロンターレにしても、スタイルを浸透させ、定着させて結果を出すまでには、かなりの時間を要しました。やはり攻撃的なサッカーを展開するには、それだけ時間がかかるのでしょうか。

「例えば、守備を中心にしてカウンター狙いのサッカーを定着させるには、それほど時間もかからないですし、わりと簡単なことです。しかし、私はポゼッション率の高いサッカーを目指しています。激しくプレスをかけて、切り替えを速くして攻撃につなげていくサッカーは、(選手同士が)お互いを理解し、連動していくために時間が必要ですね」

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