「谷間の世代」と呼ばれた男たち。その輝きは黄金世代に負けていない

  • 中山淳●取材・文 text by Nakayama Atsushi
  • photo by Sports Nippon/AFLO

 2013年からアルビレックス新潟で現役を続ける田中も、過去に何度もケガに悩まされた。とりわけ浦和時代の2005年にはキャリアを左右するような大きな負傷を負った。

 だが、新天地を新潟に求めてからは完全復活。以降は主力としてプレーを続けてきた。昨シーズンは出場が7試合に減少しただけに、新シーズンにかける思いは強いはずだ。

◆欧州でプレーする姿が見たかった。海を渡らなかったJリーガーたち>>

 J3のピッチに立つのは、FC今治で3年目を迎える駒野である。加入初年度は当時JFLだったチームをJ3昇格に導き、昨シーズンは2年ぶりにJリーグの舞台に立って24試合に出場。今シーズンも引き続きJ2昇格を目指すことになる。

 日本代表78キャップは、谷間の世代では断トツのナンバーワン。同世代の牽引者として、今シーズンも鉄人ぶりを発揮してくれるに違いない。

 その駒野とともに、2006年W杯に出場を果たした茂庭は、愛知県岡崎市のFCマルヤス岡崎の一員としてJFLに挑む。C大阪から岡崎に加入したのは2019年のこと。過去2シーズンはチーム成績も個人成績も満足のいくものではなかったかもしれないが、今年9月に40歳を迎える大ベテランの経験は、チームにとって大きな力となるはずだ。

 果たして、かつて谷間の世代と呼ばれた彼らたちの冒険は、どこまで続くのか。黄金世代の中心を担った小野、稲本、高原は、それぞれコンサドーレ札幌、SC相模原、沖縄SV(九州サッカーリーグ)で現役を続けている。そのことを考えれば、彼らがスパイクを脱ぐのはまだ早いだろう。

 松井の言う"反骨心"を胸に戦い続ける谷間の世代から、今シーズンも目が離せない。

3 / 3

関連記事

キーワード

このページのトップに戻る