【開幕特集】浦和レッズ期待の新戦力に注目。新監督の下で輝くか

  • 井川洋一●文 text by Igawa Yoichi
  • photo by Getty Images

 とはいえ、ショートパスだけにこだわるわけではない。

「監督によく言われているのは、なんのためにボールを回すのか」と槙野はつづける。

「ただただ、ポゼッションすることがテーマではない、と。ロングボール1本でチャンスになりそうな時は、躊躇せずに大きく蹴っていいと言われています。どうやったら点が取れるか、そこを最重要ポイントとして取り組んでいます」

 また浦和に長く在籍している選手からは、2012年から17年まで指揮を執ったミハイロ・ペトロビッチ監督(現北海道コンサドーレ札幌)の手法にも似ている、という声も聞かれる。選手の立ち位置や守備のトレーニングを重視することなどは、ミシャ監督と同じではないそうだが、方向性は近いという。それを踏まえると、新たな戦術の浸透は意外とスムーズかもしれない。

 チームの内外から期待が感じられる今季の浦和で、ヒーローになりそうな選手は誰か。槙野は、ルーキーの伊藤敦樹を推す。浦和の下部組織からトップチームには昇格ならずも、流通経済大学で成長し、今季に晴れて入団した大型ボランチ兼センターバックだ。

「僕らDFにとって、すごくありがたいボランチです」と33歳のベテランセンターバックの槙野は、伊藤を語る。

「ボールを奪って散らすことができ、体の無理も利く。大卒1年目のルーキーですが、開幕戦に先発するかもしれない。もし出たら、彼の良さを出してほしい。面白い存在です。プレシーズンの練習試合でも、物怖じせず、持っているものをしっかり発揮できていました。昨年の(川崎フロンターレの)三笘(薫)選手のように、ブレイクの可能性もあると思っています」

 2月13日に埼玉スタジアムで行なわれたSC相模原との練習試合では、主力組と思われるチームで、阿部勇樹と共に中盤の底を任されている。22歳の17番は先制点を奪ったり、敵のパスを分断したりと、大きな体躯で広範囲に動き回り、存在感を示した。

 その伊藤と同い年で、同じポジションを争うことになりそうな金子大毅も注目の選手だ。18年に神奈川大学を中退して湘南ベルマーレに入団したセントラルMFは、1年目にリーグカップ制覇に貢献し、その後も着実に成長を遂げ、このオフに浦和に引き抜かれた。

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