危機感がないチームほどパニックに。J1降格候補のチームはどこだ? (3ページ目)

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki
  • photo by AFLO

 横浜FC、札幌よりさらに流れがある悪いチームがある。昨年9月、トルステン・フィンクの帰国に伴い、三浦淳寛が監督の座に就いた神戸だ。就任当初こそ、白星を重ねたが、すぐに泥沼にはまる。残り11試合の成績は僅か1勝(1分9敗)。最後は6連敗、14位でシーズンを終えた。18チーム中、最も悪い終わり方をしたチームだ。

 年間予算(2019年度営業収支)、114億4000万円。神戸は一方において、Jリーグで断トツ1位の予算規模を誇る。J2に転落したら、それこそ笑い話にもならない。この逆境を、監督経験は神戸が初めてという三浦監督が乗り切ることができるだろうか。「5弱」とは異なり、絶対にあってはならないという重圧が、その両肩にはのしかかっているはずだ。スタートダッシュに失敗すると、泥沼にはまる危険がある。

 2018年度、年間予算で神戸に首位の座を明け渡した浦和は、リカルド・ロドリゲスを監督に迎えて今シーズンに臨む。徳島をJ1昇格に導いた、攻撃的で華のあるサッカーをする監督。ひと言でいえばそうなる。その一方で、選手の顔ぶれは、年々地味になっている。ムードが落ちている印象だ。

 興梠慎三がケガで昨年末から戦線離脱。昨季活躍したレオナルドも、数日前、中国Cリーグの山東泰山へ移籍が決まった。スタートが危ぶまれている。

 順位表で17位以下に記されているチームは焦るはずだ。降格候補の自覚がないチームほど、パニックに陥りやすい。コロナ禍がどうなるか定かではないが、海外から新外国人選手や新外国人監督を招きにくい状況はまだ続くと思われる。スタートで流れに乗るか否かは、降格争いを巡る重要な見どころだ。

 部外者にとっては、優勝争いより面白いモノに映る。英国ブックメーカー各社にはJ1リーグの降格予想のコーナーを早急に設けてほしいものである。優勝争い予想より、売上高が伸びること請け合いだ。

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