外国人選手に見る「化けた」と「コケた」。Jクラブ間の移籍は吉か凶か

  • 浅田真樹●文 text by Asada Masaki
  • photo by AFLO

 さらに近いところで言えば、2016年の得点王、ピーター・ウタカ(現・京都サンガ)も移籍で化けたひとりだ。

 2015年、清水に新加入したウタカの成績は、28試合出場9ゴール。しかし、翌2016年にJ2降格となった清水を離れ、広島へ移籍すると、得点数は倍増。33試合出場19ゴールを記録し、レアンドロ(ヴィッセル神戸)と並び、栄えあるトップスコアラーの座に就いている。

 また、現在もJ1でプレーするドウグラス(現・神戸)は、ハンパない化けっぷりで強烈なインパクトを残した選手だ。

 2010年、徳島ヴォルティスでJリーグのキャリアをスタートさせたドウグラスだったが、その舞台は主にJ2。最初の3シーズンはいずれも4ゴール止まりで、初めてふた桁ゴール(12点)を挙げたのは、徳島がプレーオフを勝ち抜いて初のJ1昇格を果たした2013年のことだった。だが、好調は続かず、初のJ1挑戦となった2014年はリーグ戦ノーゴール。シーズン途中に京都サンガへ移籍となり、再びJ2への"個人降格"も味わっている。

 ところが、J2ですら目立たなかったドウグラスが、移籍をきっかけに突如覚醒するのだからわからない。

 翌2015年、広島へ移籍したドウグラスは21ゴールを挙げ、大ブレイク。難易度の高いゴールを次々に決め、広島の3度目のJ1制覇に大きく貢献したばかりか、得点王にはわずかに届かなかったものの、ベストイレブンに選出された。

 移籍が吉と出るケースもあれば、凶と出るケースももちろんある。つまり、前の所属クラブでの活躍が認められ、別のクラブへ移籍したにもかかわらず、期待を裏切って"コケる"選手も決して少なくない。

 例えば、マルシオ・リシャルデス。

 2007年、アルビレックス新潟に加入したブラジル人MFは、Jリーグ1年目から28試合出場9ゴールと活躍。3年目となる2009年には29試合出場10ゴール、翌2010年は26試合出場16ゴールとふた桁ゴールを続け、点の取れるMFとして名をはせた。

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