降格は4チーム。今季J1の特別ルールが各クラブに及ぼす影響は (2ページ目)

  • text by Tsugane Ichiro
  • photo by Fujita Masato

 8シーズンぶりに手倉森誠監督が復帰したベガルタ仙台も、大幅に選手を入れ替えて、今シーズンにかける意気込みが伝わってくる。経営的な苦しさから契約延長ができずに放出した戦力もいるとはいえ、それを補える戦力をしっかり獲得している。東北の人たちの心を深く理解している手倉森監督が、多くの人たちが応援したくなるようなサッカーを見せてくれることを期待している。

 浦和レッズも今季から新監督にチームを託すことになった。昨季まで徳島ヴォルティスを率いてJ1昇格に導いた、リカルド・ロドリゲス監督が采配を振る。

 補強面では世代交代を意識していることが伝わってくる。ボランチの青木拓矢(31歳/→FC東京)、MF武富孝介(30歳/→京都)、MF長澤和輝(29歳/→名古屋)、MFマルティノス(29歳/→仙台)、MFエヴェルトン(28歳/→ポルティモネンセ)、DF鈴木大輔(30歳/→千葉)などが新天地に移籍し、新たにJ2で結果を残した20代前半の選手を中心に獲得した。

 年齢を見れば若返ったのは間違いない。しかし、J2で結果を残したからと言って、J1でも戦力になる確証はないとも言える。しかも、浦和の場合、大観衆のプレッシャーがある。今季が有観客で開催できるかは現時点では不明だが、コロナ禍が収束すれば観客がスタンドを埋める。

 J2で目覚ましい活躍をした選手が浦和に移籍し、6万近いサポーターのプレッシャーから本領発揮に至らないケースを過去に何度となく見てきた。それだけに今季に向けた浦和の補強は、優勝を狙うというよりも、上位進出なら御の字だろう。

 ただ、J1のレベルは、上から下まで欧州主要リーグほどの戦力差はない。さすがに川崎フロンターレの降格は考えにくいが、前回挙げた川崎以外の今季の優勝候補、上位候補のクラブでも、ひとつ間違えば残留争いに巻き込まれる可能性はある。それだけに浦和だって歯車が狂えば、苦しい戦いに巻き込まれることも考えられる。

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