今季J1優勝争い予想。昨季王者・川崎を脅かすのはどこか? (2ページ目)

  • text by Tsugane Ichiro
  • photo by Kishiku Torao

 4バックを敷く川崎は、攻撃で人数をかけ、前線でボールを奪われても素早くプレッシャーに行って奪い返し、2次攻撃、3次攻撃からゴールを決める。しかし、3バックの相手が奪ったボールをすぐにサイドにつなげ、ピッチを広く使って展開すると、ボールホルダーへのプレッシャーが鈍くなってしまい、相手にペースを握られることがあった。

 こうしたポイントを、今季は各チームが川崎相手に取り入れてくることが予想されるなか、鬼木達監督と選手たちが、どう対応するのかは見どころでもある。

 その「打倒、川崎」の一番手は、鹿島アントラーズと見る。昨季世代交代をして、若い選手が力を出してきている。アントニオ・カルロス・ザーゴ監督の攻撃的なスタイルへと転換しながらも、『球際の厳しさ』『ボールを奪ってから素早く攻撃する』などの鹿島の伝統も残している。それがより洗練される今季は、優勝争いをすると予想している。

 新型コロナの影響で外国籍の選手や監督は、入国後2週間は隔離期間が必要になることの難しさはあるものの、鹿島にとっては、昨季ベストイレブンに選ばれたFWエヴェラウドが残留したことは大きい。それに加え、今季はブラジルのサントスからディエゴ・ピトゥカも獲得した。

 この選手の実戦をまだ見られたわけではないのだが、評判は実に高い。左利きでフィジカルが強く、運動量とスピードを備える。サッカーIQが高くて真面目なうえに、左ボランチ、左ハーフなどでプレーできる。なによりジーコが熱望したという能力を見られるのを楽しみにしている。

 この2チームを追う存在が名古屋グランパスだろう。昨季3位でACL出場権を獲得し、このオフシーズンはJ1で最も活発な動きを見せた。

 FW柿谷曜一朗(C大阪)、MF齋藤学(川崎)、MF長澤和輝(浦和)、DF木本恭生(C大阪)、森下龍矢(鳥栖)らを獲得するなど、今シーズンにかける意気込みが伝わる補強を繰り広げた。

 マッシモ・フィッカデンティ監督のもとで、安定感のある守備をベースにした戦い方をするチームだけに、新たに獲得した選手たちが得点力を発揮できれば、リーグタイトルとACLの二冠を獲得するのも夢ではないだろう。

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