高校サッカー優勝の山梨学院、指揮官が練った2つの青森山田対策 (2ページ目)

  • 原山裕平●取材・文 text by Harayama Yuhei
  • 木鋪虎雄●撮影 photo by Kishiku Torao

「青森山田の攻撃の出発点は藤原君だと思っていたので、彼にマンマークをつけることを考えました。(神奈川大の監督時代に)早稲田と戦った時にビルドアッパーがいたので、そこをどうやって抑えようかと考えた作戦で、これを今回出せるんじゃないかなと判断しました。CBにFWをマンマークでつけて、10対10の状態にしてしまおうと」

 この発想で、相手のキーマンをゲームから外してしまう。その分、自らの手駒も失うことになるが、それ以上の効果が得られると判断したのだろう。まさかの対策に藤原自身も「CBの自分にマークがついてきて、どうすればいいのか頭が回らなかった」と振り返っている。

 また山梨学院は、相手のストロングポイントを押さえるとともに、相手の弱点を突くことも同時に遂行した。それは、高い位置を取ってくる両SBの背後を突くことだ。

「青森山田さんの攻撃は、SBが高い位置を取ってくるのが相当な強みだと思っていました。配球するポイントを抑えても、上がってくるだろうと。両方のSBの背後、2CBの脇を攻略するのがうまくいった」

 長谷川監督の狙いどおり、開始12分、右サイドの裏を突き、逆サイドから上がってきた広澤灯喜が鮮やか先制ゴールを叩き込んだのだ。

 知将の策が見事ハマり、山梨学院は1点リードで試合を折り返した。だが、どんなに対策を施しても、その上を行くのが青森山田の強さである。

 後半立ち上がりから圧力を強めてきた青森山田の猛攻をもろに受け、守勢の時間が続く。そして57分、今大会で猛威を振るうロングスローを起点に同点に追いつかれると、63分には左サイドを崩され、逆転ゴールを浴びてしまう。勢いを考えれば、そのまま山梨学院が崩れ落ちる可能性はあった。

 ところが逆転直後、青森山田がひと息ついたように感じされた。もちろん、あの強度のプレーを続けることは不可能だが、準決勝の矢板中央戦では大量リード後も一気呵成の姿勢を崩さなかった。

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