大島僚太、進化の1年。3度の優勝で芽生えた日本代表返り咲きへの思い (3ページ目)

  • 原山裕平●取材・文 text by Harayama Yuhei
  • 佐野美樹●撮影 photo by Sano Miki

「触りたいなと思いますし、関わりたい気持ちはもちろんありますけど、僕が意図して動くことや立ち位置を変えることで、味方がボールを受けられるようになる。動くことで相手をコントロールできるという作業には、楽しさを感じました。

 ただ、試合を見返した時に『全然ボールに触れてないな』と思うこともありましたよ(笑)。だから、触った時にどれだけ決定的な仕事がこなせるか。そこは、今後の課題として捉えています」

 新たな役割を求められ、新たな発見があった。

 2020年は23試合に出場して、キャリアハイに並ぶ3得点をマーク。ハードスケジュールのなかで2019年のように長期離脱がなかったことも含めて、大島は「課題が残ったという意味では満足できないですけど、課題を見つけられるだけのチャレンジをしたという意味では、満足しています」と、自身のパフォーマンスに及第点を与えた。

 大島にとっては、進化の1年でもあった。

 静岡学園高から川崎に加入した2011年当時を、大島は自身の身体能力や特徴を踏まえ「プロになってから前目でプレーするのをあきらめていた部分もあった」と振り返る。

「でも、2020年は前に絡んでいく作業ができた。10年前では想像できなかったプレーができたという意味では、プロで9年間培ってきたモノが出せたのかな。だから『進化した』と言われれば、そういう言葉も当てはまるのかなと思います」

 若いと思われていた大島も、すでに27歳。中堅としてチームを引っ張っていく立場も担った。とりわけ2020年シーズンは、大卒ルーキーの三笘薫をはじめ、若手の台頭が目立った。そんな彼らの活躍に、大島は目を細める。

「若い選手たちの勢いであったり、前への推進力は、今までのフロンターレになかった部分。僕自身の刺激にもなりましたし、サポーターのみなさんも、アグレッシブな姿を楽しめたと思います。なにより、相手が脅威に感じていたんじゃないですかね。彼らの躍動は優勝の要因のひとつだと思うし、頼もしさしかないですね」

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