ルヴァンカップ決勝は隠れた名勝負の宝庫。ベストゲームと言えば...

  • 浅田真樹●文 text by Asada Masaki
  • 山添敏央●撮影 photo by Yamazoe Toshio

 鹿島アントラーズと対戦した柏は、立ち上がりに先制しながら後半に逆転を許し、試合時間は残りわずか。当時の鹿島はすでに常勝軍団としての地歩を固め始めていたころだけに、もはや勝負あったかに思われた。

 ところが、89分、渡辺毅のゴールで同点に追いついた柏は、しぶとくPK戦に持ち込み、鹿島を下して初タイトルを手にすることとなった。

 ルヴァンカップ決勝史上、最大の逆転劇が繰り広げられたのは、2014年の第22回大会決勝。主役を演じたのは、ガンバ大阪である。

 サンフレッチェ広島と対戦したG大阪は、前半のうちに佐藤寿人に2ゴールを許す苦しい展開を強いられた。

 だが、2点目を失った直後にパトリックのゴールで1点を返すと、後半、またもパトリックが、さらには大森晃太郎がゴールを決めて大逆転。3-2で勝利し、7年ぶり2回目の頂点に立っている。

 また、因縁のリベンジマッチとして印象深いのは、1996年の第4回大会決勝だ。

 第1回大会から3連覇中のV川崎に挑んだのは、またしても清水。第1、2回大会と続けて決勝で涙を飲んでいた清水は、86分まで2-0とリードし、初優勝を目前にしていた。

 しかし、清水はそこからわずか3分間で2点を失い、同点にされると、延長戦で再び勝ち越すも、粘るV川崎にまたしても追いつかれ、勝負は3-3のままPK戦へ持ち込まれた。

 過去に2度もV川崎に苦杯をなめさせられていた清水にとっては、嫌な流れだったが、PK戦では5人全員が決め、4連覇を狙う絶対王者を振り切った。まさに3度目の正直で勝ち取った、悲願の初優勝だった。

 こうした数々の好ゲームが繰り広げられてきたルヴァンカップ決勝。その中から、あえて最高の名勝負を選ぶとしたら、どの試合になるのだろうか。

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