浦和レッズ「改革3年計画」1年目の通信簿。希望は見出せたか (3ページ目)

  • 原山裕平●取材・文 text by Harayama Yuhei
  • photo by Nikkan sports/AFLO

 シーズン最終戦となった北海道コンサドーレ札幌戦も、まるでいいところがなかった。マンツーマン気味の札幌の対応をかいくぐれずにあっさりとボールを失い、果敢な仕掛けと素早い連動で向かってくる相手に押し込まれるばかり。ふたつのゴールを失って、完敗を喫した。

 かつて浦和の指揮も執っていた札幌のペトロヴィッチ監督は、今季、マンツーマン戦術を導入して進化を求めた。勝てないなかでもそのチャレンジを止めることなく、第26節では川崎を撃破したように、シーズン終盤には結果も伴ってきた。この浦和戦の快勝も含め、来季の躍進を予感させている。

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 では、浦和はこの1年で何を手にしたのか。

 結果が出なくとも、スタイルの基盤が築かれたのであれば、来季につなげることができる。キャプテンの西川周作は、「キャンプからやってきたことが積み重なってきて、負けてはいるけれど手応えを感じる瞬間や試合はあった。選手としてはそれを続けて、右肩上がりで行くというイメージではありました」と前を向く。

 しかし、またしても待ち受けるのは監督交代だ。

「ここで監督が代わってしまうのは、またイチからになってしまうんじゃないかなと思う。積み上げたものをより大事にしていくためには、ブレずに積み重ねていく必要があったんじゃないかなと。レッズに来て7年目ですけど、そこは強く感じたところです」

 試合後に行なわれたシーズン終了のセレモニーは、まるでお通夜のようだった。社長は涙声で謝罪し、大槻監督は「申し訳ありませんでした」と、深く頭を下げた。その姿に来季への希望を見出すことは難しかった。

 噂されている人物が監督に就任すれば、浦和は大きく様変わりするだろう。高いインテンシティが要求されるスタイルにおいて、選手の序列もずいぶんと変わってくるはずだ。

 ただし、求められるのは見た目の変化ではなく、クラブのブレない指針だろう。結果を求めると同時に、信念を貫くことができるか。浦和レッズの本当の改革は、そこから始まる。

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