浦和レッズ「改革3年計画」1年目の通信簿。希望は見出せたか (2ページ目)

  • 原山裕平●取材・文 text by Harayama Yuhei
  • photo by Nikkan sports/AFLO

 緊急登板となりながらも、大槻監督は見事な火消し役を務めた。開幕5試合で2分3敗と大きく低迷したチームは、暫定監督就任後に3連勝を達成。オールバックで強面の指揮官は闘う姿勢を強調し、限られた時間のなかで見事にチームを立て直して見せた。

「選手もがんばっていますが、大きく変えたのは監督だと思っています。風貌もそうですが、話術でプラスの影響を与えてくれている。声で選手を動かしてくれる監督ですね」

 当時、槙野智章が語っていたように、絶大な影響力をもたらした暫定監督は、その任務を遂行し、かつて鹿島アントラーズを3連覇に導いたオズワルド・オリヴェイラ監督に引き継いでいる。

 もっとも、それからおよそ1年後、同じ人物からバトンを返されるとは思ってもみなかっただろう。正式に就任した大槻監督は、ACLでチームを決勝進出に導いた一方、リーグ戦では4勝しか挙げられず14位に低迷。評価の分かれるシーズンとなった。

 その状況を踏まえ、今季の浦和は「3年計画」を打ち立て、中・長期的な視野に立った改革に着手した。

 5年半にわたって指揮を執ったミハイロ・ペトロヴィッチ監督が退任して以降、浦和は毎年のようにシーズン途中の監督交代を繰り返していた。目先の結果に囚われず、主体的なスタイルを確立させ、3年後の優勝を目指す。その改革元年となった今季、大槻監督は4−4−2の布陣による攻撃的なスタイルを目指した。

 改革の匂いは、開幕戦の湘南ベルマーレ戦で早速、感じられた。新加入のレオナルドが躍動し、終了間際の関根貴大の決勝ゴールで、3−2と打ち合いを制している。守備の不安は残したものの、前年に得点力不足に苦しんだチームは大きく印象を変えていた。

 リーグ再開後も2勝1分と好スタートを切っている。しかし、その勢いは長く続かなかった。第6節の柏レイソル戦では4失点、第9節の名古屋戦では6失点と、目も当てられない惨状ぶり。

 ドリブラーの汰木康也とマルティノスを両翼に配置した10月以降は好転の兆しを見出したが、11月に入ると再び失速。大槻監督の退任とロドリゲス監督の就任濃厚報道が出てからは、ひとつの勝利も挙げられなかった。

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