川崎Fは史上最強か。識者が選ぶJリーグ歴代優勝クラブのランキング (4ページ目)

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第1位:川崎フロンターレ/2020年(23ポイント)

やはり今年の川崎が歴代最強に。残した記録が圧倒的だやはり今年の川崎が歴代最強に。残した記録が圧倒的だすべての数字が圧倒的な川崎
後藤健生氏(サッカージャーナリスト)

 32試合終了時点で勝点77。34試合制での最多勝点記録74を超えている。しかも32試合で得点も82に達し、「超攻撃的」と言われた昨季の横浜F・マリノスの68得点を大きく上回る。攻撃的なチームは往々にして失点も多いものだが、今季の川崎は失点もリーグ最小の28......。すべての数字が圧倒的である。

 強さの理由は厳しいチーム内競争にある。試合前のアップ時のシュート練習を見ていても、誰ひとりとして手を抜かず、強度の高いパスを回してからGKに届かないコースを狙って実践的なシュートを打っている。チームとしての戦い方がブレないおかげで新加入選手もチームになじみやすく、今季は三笘薫がブレーク。この「層の厚さ」を鬼木達監督が生かし、5人交代という特例ルールも利用して勝利につなげた。

 2017年、18年連覇の頃はショートパスのイメージが強く、逆サイドへの展開や裏を狙うロングボールは中村憲剛にお任せだったが、今季はどこからでも、誰からでもロングボールが出るようになった。「スペースを見る眼」が進化して遠くまで見通せるようになったのだ。そして「眼」は守備面でも効果を発揮。危険を未然に防ぐことで失点を減らした。

◆【写真】映える笑顔と美しさ。川崎フロンターレのチアリーダーたち10人>>

10連勝&12連勝。強さを見せつづけた川崎
浅田真樹氏(スポーツライター)

 昨季横浜F・マリノスは、従来のJリーグの常識を大きく変える革新的なサッカーでJ1を制したが、今季の川崎はそれをさらにバージョンアップ。"史上最強"を更新した。

 ボールを保持して相手を押し込み、失ったボールは高い位置で回収して攻撃をつづける。それがいかに忠実に実行されていたかは、得点の多さだけでなく、失点の少なさにも表われている。一口に攻撃的スタイルと言っても、ピッチ上で展開されていたのは、打ち合い上等の粗悪なものではなく、質の高い先進的なサッカーだった。

 背後に広がる広大なスペースをカバーしたジェジエウ、懸案だった右SBの穴を埋めた山根視来など、新たに適材適所で優れた個が加わったのも、コレクティブなサッカーを高いレベルで実現することにつながった。

 また、"コロナ時代"も味方につけた。鬼木達監督はリーグ再開直後こそメンバーを固定したが、チームを正しい軌道に乗せたあとは豊富な手駒を生かし、過密日程のなか大胆に選手を入れ替え。5人交代制も有効活用し、三笘薫、小林悠らが途中出場でゴールを量産した。

 10連勝1回に、12連勝1回。1シーズンを通してこれほどの強さを、しかも内容と結果の両面で、ずっと見せつづけたチームは記憶にない。

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