2020.12.07

グランパスを飛躍させた2人のハンター。「オルンガ封じ」も完璧に遂行

  • 原山裕平●取材・文 text by Harayama Yuhei
  • 佐野美樹●撮影 photo by Sano Miki

 代表されるのは、日本代表で長くコンビを組んだ遠藤保仁と長谷部誠のセット。現代表においてもパサータイプの柴崎岳と、"デュエルマスター"の遠藤航がファーストチョイスとなっている。

 個人的に好みだったのは、サンフレッチェ広島黄金時代の青山敏弘と森崎和幸だ。危機察知能力と試合の流れを読む能力に優れる森崎の守備センスがあってこそ、青山のパス能力が生きたのだ。

 ところが名古屋の2ボランチは、この一般論を覆す。米本と稲垣は、ともにボールハントを武器とする守備的なセットだ。

 豊富な運動量でいたるところに顔を出し、ボールホルダーに対して激しくチャージを繰り返す。たとえ後方でブロックを組んでも、その前のエリアで相手に自由を与えなければ、押し込まれ続けることはない。柏のパスの出し手にプレッシャーを与え続けたこのふたりが、消極的にも映るこのスタイルに、ダイナミズムを生み出していた。

 データからも、彼らの貢献度が浮かび上がる。

 走行距離はともに12キロ超えで、両チーム合わせて1、2位を記録。献身的かつ力強い守備と、衰え知らずのスタミナを保ち、まるで猟犬のごとくボールを追いかけ続けた彼らこそが、この日の勝利の立役者だった。

◆歴代J2得点王の実力を比べてみた。最もステップアップしたのは誰か?>>>

 FC東京時代からその守備力に定評があった米本と、ヴァンフォーレ甲府、サンフレッチェ広島の堅守構築を実現してきた稲垣。守備特化型のアラサーコンビは、「華麗さ」や「創造性」といった言葉からは程遠いものの、実用的な選手と言えるだろう。

 守備だけでなく、攻撃でもお互いの距離感を保ち、近い距離でパス交換を繰り返しては、シンプルにサイドに展開する。無理に縦パスを入れずにリスクを回避し、ひとつの歯車として機能する。時折見せる攻撃参加は意外性にあふれ、時に豪快なミドルをお見舞いする。この日も稲垣の攻撃参加が、相馬勇紀の決勝点の呼び水となった。