マリノスは「悔しい思い」の選手たちが躍動。ツボにハマればACLも勝てる (3ページ目)

  • 原山裕平●取材・文 text by Harayama Yuhei
  • 木鋪虎雄●撮影 photo by Kishiku Torao

「マリノスのサッカーは簡単ではない」と、ポステコグルー監督は言う。特殊なスタイルを習得するには相応の時間が必要となる。しかし、過密日程を強いられるなかで、トレーニングに時間を割くことができず、新加入組にとっては厳しい状況だったはずだ。

「理解するためには練習しなければいけないが、3日おきに試合があり、試合とリカバリーを繰り返すなかで、練習で自分たちのサッカーを落とし込むのが難しかった。そのなかでも、ひとりひとりがなんとか理解し、しっかりとプレーしてくれた」

 指揮官は自らのスタイルを理解し、実践した選手たちの奮闘を、手放しで称えた。

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 殊勲の水沼も胸を張る。

「今日のメンバーに関しては、悔しい思いをしている選手たちがたくさんいたので、とにかくこのメンバーで勝とうと。チームをもうひとつ、ふたつ上に上げていくためには躍動しなければいけない。勝利に貢献できてよかったし、ACLにもプラスになった」

 リーグ連覇の夢は早い段階で潰えたが、11月25日からはアジアの戦いが再開される。カタールでのセントラル開催となった今大会は、決勝まで行けば4週間にも満たない期間で8試合をこなす超過密日程となる。総力戦が求められるこの短期決戦を前に、新加入選手たちが躍動したことは、大きな収穫だろう。

 エンターテインメント性に満ちたこの攻撃サッカーで、アジアの頂点に立つ----。

 その野望にはロマンを感じるし、この日の戦いを見るかぎり、十分に成し遂げられるものだと感じられた。王者のシーズンは、まだ終わっていない。

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