マリノスは「悔しい思い」の選手たちが躍動。ツボにハマればACLも勝てる (2ページ目)

  • 原山裕平●取材・文 text by Harayama Yuhei
  • 木鋪虎雄●撮影 photo by Kishiku Torao

 他チームの対策が強まったことも、横浜FMの戦いを困難なものとした。

 ハイプレス・ハイラインのストロングスタイルは、ツボにハマればとんでもない破壊力を示すが、その分、リスクも大きい。ビルドアップのミスを突かれ、広大な背後のスペースを狙われた。特殊スタイルであるがゆえに、相手としては狙いどころが明白で、対抗策を打ち出しやすかったことは想像に難くない。

 それでも「自分たちのサッカー」に揺るぎない信念を持つアンジェ・ポステコグルー監督は、やり方を変えることはなかった。スタイルを貫き通したことが、昨季の優勝につながったことは間違いないが、警戒が強まった今季は、逆に「自分たちのサッカー」のウイークポイントが浮き彫りとなってしまった。

 だからといって、今季の横浜FMから強さが消えたというわけではない。早くも今季のホーム最終戦となった浦和レッズ戦で、横浜FMは王者の意地を見せつけている。

 開始2分のジュニオール・サントスのゴールを皮切りに、前田大然、小池龍太、水沼宏太と圧巻のゴールラッシュを披露。最後はジュニオール・サントスがハットトリックを達成し、今季最多の6ゴールで浦和を一蹴した。

 特筆すべきは、この日ゴールを奪った4人がいずれも今季開幕前、もしくはシーズン途中に加入した選手たちだということ。そもそも、この日のスタメンのうち7人が今季の新加入選手だった。

 連戦下におけるターンオーバーを採用したこともあったが、FC東京との直接対決を制した昨季の優勝決定時の顔ぶれからは、大幅に入れ替わっている。それにもかかわらず、次々に選手が前に飛び出し、浦和ゴールに迫っていく様は、優勝決定試合で見せた迫力にも引けを取らなかった。

 とりわけ、1得点・3アシストと結果を出した水沼と、トップ下の位置で躍動したオナイウ阿道の存在感は絶大で、ここまでサブに甘んじているとは思えないほどのパフォーマンスだった。

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