J1終盤戦に突入。川崎の記録更新とセレッソ大阪の戦術の奥深さに注目 (4ページ目)

  • text by Tsugane Ichiro
  • photo by Sano Miki

 名古屋グランパスもマッシモ・フィッカデンティ監督のもとで、選手それぞれの役割が明確になり、シンプルな戦いで結果を積み上げている。ガンバ大阪も以前のようにボールを保持するスタイルから脱却し、前線からプレッシャーをかけて堅守速攻のスタイルに舵を切って勝ち点を上積みしている。両チームともACLへの可能性は高いと見ている。

 今シーズンは天皇杯が変則開催で、J1から出場できるのはリーグ戦1位と2位のチームだけ。さらにトーナメント準決勝からの登場になるため、2回勝てば天皇杯覇者になる。川崎なら2冠達成となるし、2位のクラブもタイトル獲得へこれほどのチャンスはない。それだけにJ1の2位争いからも目は離せない。

 今季のACLはグループによって日程は異なるが、FC東京なら11月24日から12月3日までに4試合、横浜FMとヴィッセル神戸は11月25日から12月4日までに4試合を行なう。各組2位以内になれば、ラウンド16を12月6日、7日。準々決勝を12月10日、準決勝を12月13日、そしてファイナルが12月19日にある。

 J1も過密日程で臨んできたACLに出場する3チームにとって、ここからの中3日での戦いは過酷を極めるものになる。横浜FM、FC東京、神戸の出場3クラブには、しっかりACLのタイトルを持ち帰ってきてもらいたいと思う。

 なかでも横浜FMには注目している。遠藤渓太(現ウニオン・ベルリン)が夏に海外移籍で抜けたが、メンバーは充実している。スプリント数は最多で、ポゼッション率も1位。あれほど展開の速いサッカーをしながら、ポゼッション率で1位なのは、ボールを持っていない選手に運動量がないと実現できるものではない。ハイラインで攻守にアグレッシブに戦う横浜FMが、アジアの強豪を撃破する姿を期待している。

 異例のシーズンとなり降格争いがないため、下位に低迷するチームはモチベーションの維持が難しいところだ。それでも上位から下位のすべてのチームが、シーズン終了の笛が吹かれる瞬間まで熱量の高いプレーを見せる。それこそがコロナ禍でも開催しつづけることができているJリーグの使命だと、忘れないでもらいたいと思う。

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