J1終盤戦に突入。川崎の記録更新とセレッソ大阪の戦術の奥深さに注目 (3ページ目)

  • text by Tsugane Ichiro
  • photo by Sano Miki

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 今季は10連勝で迎えた12節で名古屋グランパスに負けたものの、同じく10連勝で迎えた10月18日の23節では名古屋を3−0で返り討ちにして連勝を伸ばした。しかも、この試合の得点はセットプレーからの3発。J1終盤戦に向けて、これまでの川崎が見せなかった得点パターンも増えていくとなれば、ほかのクラブにとっては打つ手がないというのが実情だろう。

 川崎が優勝目前の一方、来季のACL出場権をめぐる争いは混沌としている。今季のACL出場組の横浜F・マリノス、FC東京、ヴィッセル神戸の試合消化が早いため、残り試合数がまちまちで勝ち点差がわかりにくいなか、注目しているのがセレッソ大阪だ。

 C大阪は昨季から指揮するロティーナ監督が、安定した守備を構築したのが大きい。なにより見れば見るほど味わい深くなるサッカーをしているので、セレッソ以外のサポーターにもしっかり見てもらいたいチームだ。

 C大阪の特徴はデータを見ると明らかで、スライディングやファウルが少ない。これは激しくボールを奪いにいくFC東京や浦和レッズの真逆。さらに、走行距離もスプリント数も少ない。この部門でトップの横浜FMとは天地ほどの開きがある。

 それでも上位につけているのは、粘り強く守れるポジションを取り、コンパクトな陣形でファウルをせずに守り切るからだ。自ゴール付近でファウルをしないから、セットプレーからのピンチは少ない。激しくプレスをかけることはほとんどないので、相手にボールを持たれるものの、的確なポジショニングでシュートを打たせないし、シュートを打たれてもしっかりシュートコースを切る。

 これはヨーロッパで見られる成熟したサッカーの戦い方に通じているが、ロティーナ監督のもとでC大阪の選手たちは無理と無駄のないすごく賢いサッカーを実践している。これほど特色のあるサッカーは、なかなかお目にかかれるものではない。C大阪のサッカーの奥深さに気づき、唸れるようになれば、サッカーを観る楽しさがさらに増すはずだ。

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