徳島がJ2首位を走る必然。スペイン人指揮官が積み上げてきたもの (3ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki
  • 松岡健三郎/アフロ●写真 photo by Matsuoka Kenzaburo/AFLO

 実は前半24分にも、決勝点と似たシーンがあった。西谷が左サイドでためを作って、2人の間を浮き球で通し、これを受けた選手の折り返しからネットを揺らした。オフサイドでゴールは取り消されたものの、ひとつの攻撃パターンだろう。それはチームとして、個人が鍛えられている証だった。それ故、再現性があって、偶然性が少ない。それが選手の成長、チームの強さにつながっているのだ。

「どちらが勝ってもおかしくない試合だった。双方がプレッシャーをかけ、ミスを誘い、リスクを追う展開。どっちにボールが転がるか、小さく細かい点が勝負を分けた」(徳島・リカルド・ロドリゲス監督)

 勝負は時の運である。勝つことも負けることもあるだろう。しかし、勝つ仕組みを整えた徳島が上位にいるのは必然で、そこでプレーした選手が進化を遂げるのも道理だ。

 11月11日、鳴門。首位を守った徳島は本拠地で栃木SCを迎え撃つ。残りは10試合だ。

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